1月のコンテンツ(嵐、はいふり、ハイキュー!、KIRINJI、Slay the Spire)

「偶然も故意も、一枚のつづれ織りの裏と表ですよ、お客さま。両方眺めてみて、どちらか片方をより好ましいと思うことはあるかもしれませんが、片方が真実でもう片方が偽りだということはできません」
――テッド・チャン『商人と錬金術師の門』

 偶然も奇跡も、一枚のつづれ織りなのでしょうか。どうもサイトロです。
 2020年の12分の1が終わったそうです。嘘乙。さておき1月は色々なコンテンツを摂取したので、その備忘録でも書こうかなと思い立った次第。2月も続けないと思うので最終回です。
 余談ですがエピグラフは『ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選』に収録の短編。12月に読んだ本ですね。

 

  

ドキュメント『ARASHI’s Diary -Voyage-』

 Netflixで公開されている嵐のドキュメント。
 嵐、言うまでもなくめちゃくちゃに人気があり、めちゃくちゃに活躍をしている。ドキュメント開始5分で天皇式典の映像とツアーの映像と活動休止の話が全部出来る。怖い。映像の質量が重すぎる。解散に至るまでにどんな激論があったのか、断片的ではありながら彼らが語る顔には、テレビで見ていた明るさは伺えない。
 今は第二話まで公開されている。松本潤がツアーの構成をひたすら錬っている。最前線のアイドルがツアーに向けてどんな場所で、どんな会話の中で、何をしているのか。その片鱗だけでも味わえるのは実に有り難い。前半ずっと悩ましげな表情で曲順や演出を錬っていた松本潤が、後半メンバが集まってのレッスンでは笑みを見せるようになる。飯の相談をして笑い合っている。振りを忘れたと苦笑い。
 当たり前の事ではあるのだけれど、嵐だって人間なのである。アイドルだって人間であるというのはここ最近とみに感じることで、先日モーニング娘。'19の握手会に参加した時にも、第一印象は『あ、人間なんだ!』という気持ちだった。遠くステージの向こうでパフォーマンスしている彼ら彼女らにも生活があるんだな、と改めて思えるようになってからは、益々アイドルを好きになることをちゃんとやりたいと思っている。
 リンクを貼りたいがNetflixはその機能がないらしい。調べれば出る。

アニメ『ハイスクール・フリート

 

初航海でピンチ!

初航海でピンチ!

  • 発売日: 2017/08/18
  • メディア: Prime Video
 

  Amazonプライムで配信中。
 1月26日に一気見。放映していた当時ははいふりカメラの存在くらいしか知らなかった。あと「はいふり!」ってタイトルで一話は放送していたような。劇場版の公開によってか周囲で見ている人が多かったので、まぁかわいいアニメなら見てもいいかなと思い何の気無しに再生。気付けば12話まで見終わっていた。
 全体的に駆け足気味だったので、もう少し些細な話を語る余地がほしかったけれども、そう思えるだけ楽しめたとも思う。とにかく毎話毎話新しい敵、新しい課題に対して果敢に挑んでいく展開が心地良かった。ちょうどRPGが思い通りに進んでいくのと一緒。情報量多めの会話で進んでいくし、何より展開が止まらないことが良かった。逆に、今までいけいけどんどんだった主人公が立ち止まることをピークに持っていくのは上手な構成だった。
 物語には常に選択がある。ただ現状を甘受するだけの物語に面白さなどない。何かを悩み、選択する理由を探し、択一しなければならない。選べないこともまた物語。『ハイスクール・フリート』は、その時々で選びうる選択肢の多さが豊富だったように思う。アドベンチャーゲームになりそうな題材だった。

漫画『ハイキュー!』

 1月の、と言うよりはずっと好きなコンテンツである。ここでは連載の話をする。

 

 

 

  ネタバレに配慮した間を作るためのかわいい画像。
 終章に入ってしまった。烏野高校としての三年間はあっけないと思うくらいに終わってしまい、日向対影山という第一話の構造で最大級の決戦が行われている。あと2年くらいこの強者同士の激闘をやってほしいのだけれど、さてどうなることやら。
 考えてみると烏野高校としての三年間が終わったということは、その他の高校の三年間も終わったことになる。あの時に名前の出てこなかった青城や白鳥沢は、きっとどこかに負けてしまったのだろう。その無数のドラマは読み手に委ねられた。『ハイキュー!』で二次創作し放題だな……!
 しかし最近の話における彼らの近況は、二次創作の書き手にしてみると値千金の情報のようで、妄想を打ち砕く銀の弾丸でもあり、なかなか悲喜交々ではないだろうかと思う。

 

楽曲『千年紀末に降る雪は/KIRINJI』

 昨年からKIRINJIを聴くようになった。きっかけはラジオから流れた『エイリアンズ』。結構有名らしい。


キリンジ - エイリアンズ

『エイリアンズ』も入ったアルバム『3』がすこぶる良い。その最後を務める『千年紀末に降る雪は』の話を少しする。

 戸惑いに泣く子供らと嘲笑う大人と
 恋人はサンタクロース 意外と背は低い
 悲しげな善意の使者よ 

 全体を通してサンタクロースと、彼の走る冬の季節が歌われている。

 君が待つのは世界の良い子の手紙
 君の暖炉の火を守る人はいない
 永久凍土の底に愛がある
 玩具と引き替えに何を貰う?

 暖炉の火は守られない。冷たいものと温かいものがこうも同居するか。

 帝都随一のサウンドシステム 響かせて
 摩天楼は夜に香る化粧瓶
 千年紀末の雪!
 嗚呼、東京の空を飛ぶ夢をみたよ

 KIRINJIの曲が染み入るようになって、その歌詞を聞くとミニチュアの舞台のような広がりが想像される。帝都随一のサウンドシステム――夜の闇に隠れて見えないような、大きくて壮大な音響装置が、千年紀末の雪に晒されている。
 ひどく寒い日に気分が悪くなって何かに縋りたい一心で歌詞を諳んじ何とか乗り切った。思い出の中でこそ音楽はよく響く。この曲を聴く度に、あの肌寒さを思い出すのだろう。

 

 さてそんな話をブログに書こうと思っていた矢先に、現体制の解散が報じられた。今のKIRINJIは『3』の頃のデュオユニットではなく、複数人によるバンド体制が敷かれている。それもまた終演を迎え、よりフレキシブルな体制で活動するらしい。
 私が好きになったKIRINJIはとうにいなくて、今好きになりつつあったKIRINJIもまた姿を変えることになったけれど、まぁ時間には変遷が付きもだからと、そこまで悲観もしていない。ただ、素直な気持ちとしては、兄弟ユニットだった頃に出会いたかったとは思う。

 

KIRINJI TOUR 2013~LIVE at NHK HALL~ [Blu-ray]

KIRINJI TOUR 2013~LIVE at NHK HALL~ [Blu-ray]

 

  とりあえずライブBDは買おうと思う。

ゲーム『Slay the Spite』


Slay the Spire [Indie World 2018.12.27]


 これはカードゲームだ。
 プレイヤーは毎ターンの最初に5枚ドローし、エナジーを消費してカードを使う。ターンの終わりに全ての手札を捨て、敵の攻撃を受ける。戦闘が終わればダンジョンの奥地へと進み、色々なイベントを経て、ボスを倒すことを目指す。レリックという装備を集めることで、使えるエナジーが増えたり、使用するカードの枚数に対して効果が出てくる。スタートのデッキは共通だけれど、その後手に入るカードもレリックも異なるから、毎回その場その場で最適なデッキを構築しなければならない。
 初期装備の異なる4人のキャラクターがいて、そのうちの一人、サイレント(暗殺者。カードを組み合わせて戦う)でばかり遊んでいる。楽しいからではなく、全然上手くいかないからである。アイアンクラッド(騎士。カード単体で強い)やディフェクト(ゴーレム。オーブという特殊なシステムで戦う)は1~2回でレベル3のボスまで倒せたのだけれど、サイレントは10回に1回くらいしか成功しない。カードとレリックの組み合わせを吟味しないと、半端なデッキではボスに競り負けてしまう。毎夜毎夜あの選択が悪かったのか、あの時こうすれば良かったと風呂場で悶える日々。それも含めてたまらなく楽しい。
 一応真ボスまでにしようとは思っているけれど、そこに至るまではまだかかりそう。二月はP5S(ペルソナ5の無双ゲーム。終盤30時間ぶっ続けで遊んでクリアした)しか買わない予定なので、まぁなんとかなるだろう。

 

 1月はこの他にもADVゲームに手を出したり、『スターウォーズ』シリーズを見たりしていた。あと香川旅行ね、香川。うどんをたくさん食べてきた。最上静香との旅行の体でした。そうでしたって言ってるでしょ。
 2月は色々インプットしつつ長編に取りかかる予定。プロットが半分くらい固まっている。とあるアイドルの道行きについて書いていくから、なるべく慎重にやりたい。その関係で暫くは小説を投稿することはなさそう。

モーニング娘。’19の握手会に行ってきたよ~♪

人生って
ここぞっていう日があるんだね
――モーニング娘。’19『人生Blues』

 


モーニング娘。'19『人生Blues』(Morning Musume。'19 [The Blues of Life.])(Promotion Edit)

 アッッッッッッッッッッキャプションに譜久村さんが映ってるぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 どうもサイトロこと感情めちゃくちゃ人間です。
モーニング娘。’19』の握手会に参加したレポです。
 おうちに戻って一息つく前にこれを作っていて、基本Twitterに書き散らしたことをまとめたり引用したりしています。タイトルは軽快にしましたが、内容はめちゃくちゃです。個人的な備忘録として、そして未のな感情めちゃくちゃ人間のために書きました。
 どの握手会に参加したかは伏せますが、時間帯で察してください。

 

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DEATH STRANDING MeMo #1

「なわ」は、「棒」とならんで、もっとも古い人間の「道具」の一つだった。「棒」は、悪い空間を遠ざけるために、「なわ」は、善い空間を引きよせるために、人類が発明した、最初の友達だった。「なわ」と「棒」は、人間のいるところならば、どこにでもいた。
安部公房『無関係な死・時の崖』

 「なわ」を求めて三年経ちました。どうもサイトロです。

『DEATH STRANDING』めちゃめちゃやっている。正直こうして文字を打つ間にもコントロールを持ちたくて仕方がない。今日で中部大陸のメインストーリーが終わったらしいので、早くフレッパーズの好感度を上げに行きたい。新しく使えるようになったあれこれを試したい。フォトジェニックな一枚を撮りたい。荷物運びたい。

 それでも書く。『DEATH STRANDING』というゲームを遊んだ記録として、現時点での謎や疑問点、所感などをつらつら書いていく。半ばツイッターと一緒。

 ここから先はストーリーなどのネタバレが含まれる、多分核心に触れることは無い。ほぼほぼ個人の備忘録。#1と書いたんですが#2は多分クリアした後に書くことになりそう。

 では早速、座礁した世界の備忘録へ。

 

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ホントの話と、未来の希望

だからつまり、うちは光ってない状態でもええなーって思ったわけよ。

――『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話』より

  『真昼のイルミネーション』

  光っていましたよ。どうもサイトロです。

 四時に目が覚めたので、読みました。
 『響け! ユーフォニアム』シリーズ自体は映画『リズと青い鳥』を見てからアニメを経て、『誓いのフィナーレ』に至っておりました。それ故に、誓いの結末に思う所があり、ずっとそれを抱えていた所した。
 今回は小説『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話 』を通して朝方に得た感傷と、とある形で続く、彼女たちの物語について書き記します。
 劇伴は当然、Homecomingsで。『Cakes』も好きです。


Homecomings - Songbirds(Official Music Video)

 

 

1. あの日終わったコンクール

『誓いのフィナーレ』にて、全国大会を目指していた北宇治高校はあっけない――あまりにもあっけない結末を迎えた。愕然とした。こんなのってないじゃないかと思った。
 贔屓目だとは分かっている。『リズと青い鳥』で少女たちが見据えた道が、こんなにもあっさり終わってたまるかというのは、不躾なことだと分かっている。主人公たちのために三年目の、最後の全国大会の意味合いをより強めることだと、十分分かっている。そういえばだけど、三部作であるところの『バック・トゥ・ザ・フューチャー』もpartⅡはpartⅢのためにあるような結末だった。あれで一年待たされるのはしんどかっただろうなぁ。閑話休題
 そう思っても結末は変わらないわけで、結末がもどかしかったとTwitterに書いた後、一度友人と飲み会で話したことがあった。曰く、それは作中における『セントラル・クエスチョン』(主人公の解決しなければならない問題)が解決していないからではないか、と。これはこれで一つの記事になりそうなのだけれど、敢えて今回はこれ以上は書かない。少なくとも、久美子に示された問題は解決――というか、すべては三年目に持ち越しとなったと思っている。
 そして今日に至る。Twitterにて勧められ、いずれ読もうとは思い購入こそしていたけれど、まさかこんなに早く読み終わるとは思わなかった。
 少しだけ、期待していた。あの日終わってしまった道を見て、彼女たちがどう思っているのか。劇場では明示されなかったことが明らかになるのではないか、と。しかし、そうはならなかった。今書きながら思ったけれど、それを知りたければ本編第二章にしか書いてないだろうに。

 

2. 真昼の光に隠れる、イルミネーション

 そろそろ本題を書く。エピグラフにも書いた、『真昼のイルミネーション』の話がしたかった。
 夏紀先輩はユーフォニアムから離れようとする。ひたすらに全国を目指し、挑んだ日々はかけがえのないもので、こここそがピークであると信じている。対して希美は、音楽はもっと気楽にやって良いと言う。
 私は改めて思い知らされる。既に二度目の挑戦は終わり、途絶えた道のほうを、彼女たちは見ていないことを。大学生活に思いを馳せながら、ギターを始めることを空想する夏紀先輩は、一つの希望に見えた。
『響け! ユーフォニアム』は徹頭徹尾コンクールでの優勝を目指す物語だ。本短編で描かれる部活のシーンは、すべてがコンクールのための糧としての役割を持っている。
 その物語の隙間に、音楽との付き合い方の折衷案が出てくれるのは、優しいシーンであり、久美子たちには出来ないと思った。

だからつまり、うちは光ってない状態でもええなーって思ったわけよ。

――『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話』より

  『真昼のイルミネーション』 

  弱い光だったと思う。
 事実だけを書いてしまえば、夏紀先輩たちの代では、全国大会には辿り着かなかった。夏紀先輩は度々実力の不足が描かれ、『誓いのフィナーレ』では問題の発端となった。
 だけど諦めなかった。
 最後まで吹いていた。
 高潔さというよりは、地に足を付けた優しさと誠実さが備わっているのだと思う。それはこの短編で語られる以下の件からも分かる。

自分ももしかしたらそういう大人になるんかもしれへんっていう可能性なんかもしれんわ。誰かの好きを踏みにじってても気づかへんような大人にさ。

――『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話』より

  『真昼のイルミネーション』 

 正しい自分ではなく、間違うかもしれない自分を想像することが、出来るだろうか。
 真昼の光に潜む、イルミネーションのような警告。

 

3. 未来の希望

 最後に未来の希望について書く。これはまだ、最終楽章を買っただけの私が話すことなので、それを了承していただきたい。
 未来を描いている人がいる。それは、中川夏紀がギターを弾いている未来だ。

 所謂二次創作ではあるけれど、可能性としての未来がここにある。生活と苦悩、その中に音楽があることを物語としてしたためている。丁寧な物語は、彼女たちが第二楽章を経ても尚、短いながらも同じ時を過ごしていることを描いている。
 幸いなことだと思う。
 この物語もいつしか終わってしまうのだろうけれど、それでも、思う。
 夏紀先輩が誰かの希望に――いつかよりも明るさを増した光であってくれたら、と。

 

 

 何やら仰々しく書いてしまったけれど、私は『響け! ユーフォニアム』シリーズも、かの二次創作のシリーズも、引き続き追いかけていきたいと、そんなことが言いたかったのだと思う。あとは警告。忘れてはならない警告。
 警告――については、同日に読んだ本にも関わりがあり、実は今日は、それについての記事を書く予定だったのだけれど、先延ばしになってしまった。もっとサクサクと書き上げるつもりが、思ったよりも長く掛かってしまった。
 ともあれ次回がありましたらその時に。
 余談ですが、さきほど『リズと青い鳥』のブルーレイを買いました。
 もう一度、彼女たちの物語を振り返るために。あの日劇場で見た興奮――スクリーンに光が絶えた瞬間の、二度とは味わえないであろう感覚を、忘れるために。


 いつかは何もかもが思い出になるのでしょう。

 

 

By making it a song,

Can I keep the memory?

I just came to love it now.

(歌にしておけば、忘れられないでいられるだろうか。

 たった今好きになったことを。)

――Homecomings『Songbirds』

 

 

あの日、『月曜日のクリームソーダ』は何を見せてくれたのか

セラヴィ!
夜更かししてみたい、、のよ
ちょっと モノタリナイ、、から
――『月曜日のクリームソーダ』より

 モノタリナイことなんて何一つとしてなかったのだけれど。
 サイトロです。
 


「アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ」ゲーム内楽曲『月曜日のクリームソーダ』MV

 2019年6月30日(日)に開催された『THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 6thLIVE TOUR UNI-ON@IR!!!!』のFa公演千秋楽に参加した直後の文章になります。打ち上げもせずに帰ってきましたが、今はただ満ち足りた思いです。今は日本時刻で夜の十時半です。つい四時間程前に目撃した奇跡について書いていくのですが、言いたいことはただ一つ。
『月曜日のクリームソーダ』を歌ってくれたユニット、『Jelly PoP Beans』に感謝を。
 ロコ役・中村温姫様、舞浜歩役・戸田めぐみ様、永吉昴役・斉藤佑圭様、周防桃子役・渡部恵子様に感謝を。
 バックダンサーの皆様、そして今回、タップダンサーとして参加してくれた皆様に感謝を。
 本曲の演出、衣装、楽曲に携われた皆様に感謝を。
 ただそれだけです。
 今この時この瞬間のこの気持ちがどこから来るのか、『月曜日のクリームソーダ』という楽曲が何を見せてくれたのか、書いていきます。

 

1. イントロ

 前日の公演は観ていなかったけれど、タップダンサーが参加することはTwitterを通じて知っていた。元々、『月曜日のクリームソーダ』という楽曲自体が好きだったので、まぁそれこそソーダにクリームが乗っかるような組み合わせだなと、好印象から期待値をより上げていた。まぁその期待値も、『Jelly PoP Beans』前までの各ユニットが見せてくれたパフォーマンスによってすっかり頭の中から忘れ去られ、いよいよ曲が始まる、という時まで思い出せずにいた。
 だから渡部恵子さんが『スペシャルパフォーマンスです!』と言った時に、おぉこれは楽しそうだ、くらいの気持ちだった。2曲目までが十分に楽しかったで、まぁ最後も良いに決まっている、と。
 そして壇上に現われるタップダンサー。始まるイントロは聞き慣れたものだ。ゲームイベントで何度も聴いたし、気に入ったから先行DL販売だって買っていた。
 そこにタップダンスが加わると、こうも引き込まれるのかと、思う間もなく引き込まれていた。足が音を鳴らす。軽快なリズムを奏でる。分かっているのに、音は止めどなく続くものだから、必死に耳を傾けた。イントロはループし、リズムは変容していく。
 そうか、これがタップダンスというパフォーマンスなのか。
 気付いたぞと、安心しきった所に中村温姫さんの歌声が飛び込んでくる。
 ここで卒倒しそうになった。お気づきかと思うがこの文章はライブ後に『月曜日のクリームソーダ』という単語を五回連続で呟いたおたくによるものである。
 待ってほしい。一度タップダンスの要素を落ち着かせてから始めてほしい。だってすごいものが立て続けに起こると人間はエラーを起こすのだ。そのエラーが俺なのだ。
 ここで何が起こったのか。以下、というかこの文章全体は記憶に依るものであるため、齟齬や間違いを多分に含んでいる可能性が大いに有り得る。ただ言いたいことだけは偽りないです。
 タップダンスは確か四拍四小節をひとかたまりとして披露されていた。それが二~三種類あった気がする。そして『月曜日のクリームソーダ』の歌入りは、アウフタクト――拍の途中から入るのだ。つまり四小節ひとかたまりが続くだろう、と錯覚していた所に正しくメロディが入ってきたら、そりゃ驚く。今やっと気付いた。
 間違っていたらごめんなさい。確認したいので明日映像貰えません?
 ともあれ凄い始まりだったことには違いない。もうこの時点で最高だった。

2. サビ~2番Cメロ

 今日は省略するのだけれど、AメロBメロだってめちゃめちゃ凄かったのである。ただこれを書き続けてしまうと月曜日がやってきてしまうので、今日は割愛。愛を以て。
 サビに入った辺りで口を開けていたと思う。すごい一体感を感じる……って感じだった。演者、バックダンサー、タップダンサー、衣装も役割も異なる三つのグループが、一つになってのダンス。
 不思議な空間だった。アイマスのライブなので、メインはアイドルのはずなのだけれど、誰が主役なのか分からないくらい、全員が一つのステージに均等に収まっていた。あまり言いたくはないのだけれど、現地で観れなかったことが惜しい。絶対楽しかったと思うし、思い出になっただろう。
 不思議さを満足に味わいながらの2番Cメロ。いよいよ感覚がおかしくなってきたな、と思い始める。演者の歌声と同じくらいにダンスに目が行き、ダンスも三種類くらいあるように見える。

 

 我ながら上手く言ったものだと感心している。

3. ラスサビ前~ラスサビ

 楽しい時間はいつだって限られていて、『月曜日のクリームソーダ』という曲は4分23秒しかない。まぁ当日は1時間くらいあったと錯覚している。
 ラスサビ前はタップダンサーの独壇場。私は一体何のライブを観に来たんだと、今日何度目かの疑問が膨らんでいくに連れて、リズムも複雑怪奇と化していく。タップダンスもっと観たいと思ったので今度調べます。
 そこに演者たちが歓声を煽る。するとどうなるか。
 ライブビューイングを通して、『タップダンサーのパフォーマンス』と『演者の煽り』と『観客の声援』の三つが脳に集まり大変なことになる。「一度では分からん!!!!!!」と私は頭の中で叫んでいたので、情報は四つもあった。
 そんなラスサビも無事に終わり、息も絶え絶えになりながらもラストを惜しんでいた私を嘲笑うように、新しい情報がやってくる。
『Jelly PoP Beans』以外のユニットが画面に現われたのだ。今回のビューイングではセンター以外にカメラが回らなかったので堪能したとは言い切れないのだけれど、正直、その事実だけで――全ユニットが『月曜日のクリームソーダ』という曲に揃ったという事実だけで、私はもう、歓喜に打ち震えた。

 天候に恵まれ、無事に終わりますように、くらいの祈りだった。所がどっこい祈りの結果、こんなパフォーマンスを観れるなんて、思いもしなかった。
 一堂に会しているのである。ロックでオルタナティブなユニットも、吸血鬼を巡るミュージカルを演じたユニットも、近未来的クール系美少女ユニットも、皆が皆『セラヴィ!』と両手を掲げている。
 その光景は、この公演、『THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 6thLIVE TOUR UNI-ON@IR!!!!』が起こした、最高の奇跡だと思う。
 

4. 『月曜日のクリームソーダ』は何を見せてくれたのか

 これを読んでいる人ならば当然知っているとは思うけれど、『THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 6thLIVE TOUR UNI-ON@IR!!!!』という公演は、テレビ番組を模したものである。青葉美咲を司会として、各ユニットが1番組であるかのようにパフォーマンスが披露された。『夜想令嬢』のように劇場公演のように纏めるものもあれば、Pr公演では本当の特撮番組のように仕立て上げられたものもあった。
 その中で『Jelly PoP Beans』は、ノスタルジックなユニットだった。(世代ではないので確かでは無いのだけれど)昭和を思わせるような衣装に、歌謡曲的な懐かしさを覚えるメロディ。古き良き、とまでは言わないけれど、現代の良さとはまた違うものが、ユニット全体に帯びていたと思う。
 そのユニットが披露する楽曲を通じて、たくさんのパフォーマンス、ユニットが集う、ということ。
 テレビ番組、テレビというものが持つ力って、こういうものなんだな、と今思う。
 多種多様なものが一つの四角い枠の中で共存している。たとえばそれは紅白歌合戦のような、若者の好きなバンドと年配者の好きな演歌歌手が同居していることと同じではないだろうか。
 アイドルのステージだから、アイマスのライブだからアイドルだけが主役になるのではなく、タップダンサーも、バックダンサーも、皆それぞれに輝ける瞬間がある。
 そして最後には、皆が一つになって大団円を迎える。
 最後のメロディが流れた瞬間に両手を打った。感謝したかった。『月曜日のクリームソーダ』という奇跡に、ただただ感謝がしたかった。
アイドルマスター』のライブはとうとう、アイドルだけで広がるものではなく、アイドル以外のもの、ゲームにはなかった要素を取り入れて、拡張することが可能になった。Pr公演でも和太鼓グループが加わってくれた時にも近しいことを思ったけれど、今日のパフォーマンスはその更に一歩先の考えに至った。それは『月曜日のクリームソーダ』という楽曲が、『Jelly PoP Beans』というユニットが、よりテレビというものに近しかったからだと考えている。

 

 

 9月の追加公演、どうにか現地で『Jelly PoP Beans』に会えないかと願っている。
 正直、あんなものを見せられて、こんなにも感動したライブの次がどんなものなのか、全然想像がついてない。何でも新しいものを加えれば良いというものでもないし、次もまたタップダンサーとコラボするとも限らない。
 まぁ、いつだって最高の次は予想が出来ない。
アイドルマスターミリオンライブ!』が見せてくれるライブは年ごとに新しく、こちらの想像を超えて進化を続けている。それは演者さん、演出、衣装……何を取ってもそうだと言える。
 今、1番の公演は何だったかと聞かれれば、今日の『月曜日のクリームソーダ』だと答える。だけど一年後は、二年後は、何と言うかなんて分からない。トライスタービジョンが楽曲を披露するかもしれないし、トライスタービジョンが楽曲を披露するかもしれないし、トライスタービジョンが! 楽曲を! 披露!
 調子に乗りました。

 ただ今は、こうして熱量だけの文字を書き連ねられたことにも感謝したいです。
 周防桃子の楽曲のように、夢でもう一度『Jelly PoP Beans』に会えたら、どれだけいいでしょう。まぁいつかは映像として収録されるだろうから、この文章が、その日を待つまでにちゃんと溶けきるクリームであることを、今は願うばかりです。

 夢じゃなかったな。本当によかったな。
 最後にもう一度、『月曜日のクリームソーダ』に関わった全ての方々に感謝を。
 ありがとうございます。お陰様でクリームソーダまで好きになっちゃいました。

 

『ALTER EGO』を遊んだ日に見た映画の話

Welcome to Fight Club.

 ――映画『Fight Club』より

 そういう映画だと思ったんですよね当初は。どうもサイトロです。

 タイトルに『ALTER EGO』ってあるのにエスの静謐な佇まいについて語らないとは何事かと思われますが大丈夫です、今回は1999年のアメリカ映画『Fight Club』と、2018年に配信開始されたiOS向けアプリケーション『ALTER EGO』、二つを一夜にして見て遊んだことについて書き残します。

ALTER EGO

ALTER EGO

  • Caramel Column Inc.
  • ゲーム
  • 無料

  やっぱりエスの佇まい良いよなぁ。

 

 ブラピもかっこいいぜ。

 ほぼ日記としての意味合いしかなく、それでもこの体験を両者を知る人に知ってもらいたい、そんな情熱の一心です。当然ながら両者の致命的と言えるようなネタバレがあるのでご了承ください。二時間の映画は二時間で見れるし、『ALTER EGO』は大体一週間くらいあればどんなものであるか理解出来る(し、アプリと書きつつも難しいゲームではないので)ので、どうか両者を知らない人はこの先を読まずに、実際に触れてもらいたい。

1. 2/16真夜中目前

2. 2/17早朝

3. 2/17夜

4. 『ALTER EGO』と『Fight Club』、規律と衝動

 改めて思うけれど、実体験から生じる情熱ほど熱いものもないのだから。

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『CROSS HEART PUZZLE』に隠れたメッセージについて

――すぎたことは絶対かわらないもの。いつもそこにあるのよ。すぎたことだけが、確実に私たちのものなんだと思うわ。
――江國香織『神様のボート』 

 思い出せないことほど美しい。どうもサイトロです。

 さて今回は、9月4日に公開したとっかべ(徳川まつりさんと真壁瑞希さんの関係性を指します)短編『CROSS HEART PUZZLE』に掲載されたクロスワードの答え合わせをしていきます。tumblerに投稿しないのは、次の読者への配慮です。問題と解答が隣り合うと、見たいと思うのが人の性です……ですよね?

www.pixiv.net

 本編を執筆するにあたって、上作品をはじめとしたすみれ様の作品群へ、改めて敬意と感謝を。徳川まつりさんと真壁瑞希さんの間に広がる、美しく儚い、それでも続くもどかしい日々の描写が、大好きです。特に上作品のラストは、時々心で繰り返すほどに、素晴らしい文章です。拙作と合わせて是非。

 それでは、言葉を埋めていきましょう。

 

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