体と心の恋物語、三つの勧め(PCゲーム『WHITE ALBUM2』について)

 冷たい風を震わせて、歌が聴こえてきた――

 夕暮れの音楽室で俺が奏でるギターに合わせるように。
 隣の教室で顔も知らない誰かが奏でるピアノに合わせるように。

 屋上から響いてきた、鈴が鳴るように高く澄んだその声は、
 バラバラだった俺たち三つの旋律を繋いでくれた。

 始まりは、そんな晩秋。
 そのとき、誰かが誰かに恋をした。

――『WHITE ALBUM2 -introductory chapter-』ストーリーより、抜粋

 

 

WHITE ALBUM2 -幸せの向こう側-(通常版) (特典なし) - PS3

WHITE ALBUM2 -幸せの向こう側-(通常版) (特典なし) - PS3

  • 発売日: 2012/12/20
  • メディア: Video Game
 

 『WHITE ALBUM 2』というゲームがある。恋愛ゲームだ。

 主人公である北原春希が、文化祭で軽音同好会としてステージに出なければならないことをきっかけに、二人のヒロイン――学園のアイドル・小木曽雪菜に、孤高の元ピアニスト・冬馬かずさ――と出会い、思いを募らせていく『-introductory chapter-』。美少女二人を天秤に掛けた末の結末は、春希にとっての罪であり、この物語の象徴とも言える。

 文化祭から三年後、大学三年生となった春希は、新たに出会うヒロイン三人に加え、高校時代を過ごした”彼女”と、将来に向けた日々を送る。罪は、その胸に抱いたままに。『-closing chapter-』と銘打たれた物語には、幾つもの結末が用意されている。そのどれもが、春希の罪を暴いていく。降り積もった雪が、いつしか溶けていくように……。

 

 2020年のゴールデンウィークは自宅で過ごすことが美徳であるとされたので、前評判だけ知っていたこのゲームを一週間ほどで遊ぶことにした。大体60~80時間ほどかかったのではないかと思う。五連休は朝起きて夕方までWA2を遊ぶというルーチンを組み、そうしなければ苦しみを伴う物語を見続けることが出来なかった。

WHITE ALBUM 2』(以下、WA2)は冬の物語なので、冬の凍えるような夜に、春希たちが味わったであろう冷たさに共感しながら遊ぶのが一番良いだろう(筆者は冬が待てなかったので、蒸し暑い中で冬を思った)。この記事は未プレイの方々に読んでいただいて、冬休みの予定の参考にしてもらえればと思う。

 尚、筆者が遊んだのはWindows10対応のダウンロード版である。PS3PSVitaの全年齢版や、当時の各種特典が付いた製品版の『EXTENDED EDITION』など、選択肢は幾つかある。今回は物語にのみ触れるため、これらの違いについては述べない。

 

 WA2は三人の物語だ。だから、三つの章立てで話を進める。尚、先述の通り未プレイの方々向けの記事だが、少々のネタバレがあることをご留意いただきたい。

 

1. 『最初に好きになった人』と『最初に付き合った人』

2. ○○ルートという選択、避けられない出来事

3. 幸せを願う彼女が、最後に見せてくれるもの

 

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3月のコンテンツ(キング・オブ・コメディ、aiko、風花雪月、OSFE、北沢志保)

 君らは僕がイカれてると思うだろう
 だが ドン底で終わるより一夜の王になりたい
 ――映画『キング・オブ・コメディ』

 この名言について書きます。

 どうもサイトロです。3月も色んなコンテンツではちゃめちゃになりました。140文字で書いたことのあるものも、収まりきらないものも全部ここに残していきます。各種コンテンツのネタバレにご注意ください。月は書く予定がないので最終回です。
 

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2月のコンテンツ(#FE、デトロイト、パラサイト、薄桃色、トリオ)

 幸せ 少し いただきます
――映画『パラサイト 半地下の家族』ポスターより

 『パラサイト 半地下の家族』評に寄生って単語使うのダサくないですか!?

 どうもサイトロです。2月に摂取したコンテンツについて書いていきます。3月は書く予定がないので最終回です。

 

ゲーム『幻影異聞録#FE Encore』

 


幻影異聞録♯FE Encore 紹介映像 バトル編

 一ヶ月でクリアしました。

 予てより優れたRPGだと聞いていましたが、それに違わぬ面白さと、多くの人に勧められるカジュアルさを備え合わせた傑作でした。

 アトラスのPRGってペルソナ3と5くらいしか触ってないんですが、とにかく1戦1戦が殺しにかかってくるんですよね。1手の油断で容赦なく死ぬ。それがファイアーエムブレムにおけるユニット同士の戦いと上手くマッチして、面白くなった印象ですね。どちらのゲームも共通して(というか大抵のゲームがそうだけれど)『相手の弱点を突く』ことで戦闘を有利に進められるんですが、相手も同じように弱点を突いてくるので、雑魚敵の攻撃で致命傷なんてザラにあったんですよ。それで1~2時間の苦労を何度水の泡に帰したことか……。それ含めてゲームのような気はしています。

 キャラクタの成長はある程度一本道で、スキルや最終ユニットの選択肢が少しあるくらい。個人的にはもっと多様な選択肢がある方が好きな筈なんだけど、それが出来る世界樹の迷宮は途中で挫折したんですよねー。ふーしぎ。

 ストーリーは……その……アイドル関係のコンテンツに全身突っ込んでる人間なので……その……流石にもうお腹いっぱい、といった具合のよくある、本当によくあるストーリーでした。悪くはない。かといって好きになれる部分も特になかったです。個別のストーリーも数多くて良かったと思います。

 ともあれ楽しかったのは事実なのでヨシ!

 

ゲーム『Detroit: Become Human』


『Detroit: Become Human』 キャラクタートレーラー/コナー篇

 #FEをクリアした後に何の気なしに付けてみたらマジギレしてしまったゲーム。

 元々はとある短編を書く時の参考になるだろうととりあえず購入していたのだけれど、ここまでアドベンチャーゲームが進んでいるとは思いませんでした。

 序盤の話をします。上記動画にも出ているアンドロイドのコナー君が交渉人としてやってくる。家事用のアンドロイドが暴走して、少女を人質に取ったという。それが示された途端に自由になるんですよ! はい今から何してもいいぞ! 好きな部屋にいって好きなこと調べるがいい! ただし時間は一刻と進むからな!!!! といった具合にいきなりゲームへと放り込まれる。分からずのままとにかく状況を調べる。すると場のデータを調べていったら再現3Dが表示される! 時間に沿って動かすことも出来る! すげぇ! 文字で伝わってるのかコレ! ともあれ最初の事件は見事少女を救い、今後にも期待がかかるコナー君だったのだけれど……。

 これを書いてる日にクリア。大体10時間くらいでした。このゲームには三人の主人公がいるのですが、コナー君だけが生き残るような結末に。アンドロイドに生死があれば、の話なのだけれど。

 面白いなーと思ったのは、コナー君がアンドロイド事件の解決のために相棒となったアンダーソン警部と対決するシーン(ゲームの展開によっては、これを遊ばない場合もあるのかな?)。二人は主義の違いから分かたれてしまい、争うことになる。しかし、二人のQTEコマンド(ゲームの映像中にコマンドを入力するやつ)を入れるのはプレイヤー一人しかいないんですよ。どちらを勝たせるかを決めるのは自分自身の決断に委ねられるわけです。それをリアルタイムで考えながら、どのコマンドを入れ、どのコマンドを外さないかと思い悩める。ただ画面に表示されるものを入力するだけで得られる快感とは違う、片方を選び、片方を選べない苦痛が寧ろ気持いい。

 これに限らず、このゲームは沢山の決断を迫るし、その結果多数の分岐が起こります。チャプターの終わり毎に提示される分岐の数がえげつない。一度の周回で見れないものの方が多いです。

 とりあえず件の小説も四月ごろに執筆予定なので、時間を置いてからもう1周する予定。1周目はアンドロイドと人類の共存を目指し、結果それは、少しの間だけ達成されました。今度はアンドロイドが人類に刃向かう感じでいこうと思います。

 遊び方はゲームが決めるのではなく、私が決めるのです。

 

映画『パラサイト 半地下の家族』


第72回カンヌ国際映画祭で最高賞!『パラサイト 半地下の家族』予告編

 普段は貸し切り状態にすらなる我が地元の映画館にそこそこ人が集まっていたくらいの話題作! 観た後は二時間くらい顔が真顔になってしまったくらいの、強烈な一作! 感情を取り戻すためにTwitterに投稿した内容から引用してます。以下ネタバレ注意です。

 

 

 

ラ・ラ・ランド』なんですよね。あのラストは。
 キム一家の長男ギウが、父に宛てた手紙を書く。お金を稼ぎ、あの家を買うという。そして映像では、その姿が実際に描かれ、「家には光が差していますから、あなたはただ階段を上がってきてください」(うろ覚え)と息子の優しい言葉と共に、父親であるギデクが階段を上がってくる。闇から出で、その姿が光に照らされる。
 そしてその全てが、半地下の光景によって塗り潰される。冒頭では差していた光も失せて。そして、どう宛てるのかも分からない手紙は「それまで、お元気で」と締められる。

 本当に『ラ・ラ・ランド』だと思います。あるかもしれなかった幸せが描画され、今に塗り潰される。それがどちらも美しく、現実が違うだけ。最高に切なくも心地良い余韻であるか、胸の奥に何かを植えつけられたような重さであるかの違いです。

『パラサイト 半地下の家族』という邦題もすごく良いですね。半地下と書くことが、映画の見方を強く補助してくれていると思います
 その象徴が中盤、あの息もつかせぬ展開の最中に繰り広げられる情事にありました。ソファで眠ろうとする二人の嬌声の中、テーブルに隠れたキム一家は息を殺して眠りを待っている。場所の違い、高さの違いが正しく半地下。このシーンが観れただけでも大変満足でした。勿論、それで終わらないのがこの映画なのですが。

 これに近しい映画である『万引き家族』も早い内に観たいですね。地元でやっている時に行けば良かった。

 

『薄桃色にこんがらがって』

  シャニマスにおけるイベントテキストの面白さって最早疑う余地無しなのですが、こうしてまた打ちのめされることが出来てすごく嬉しいです。

 どこがすごいかっていう話なんですが、先ずアルストロメリアというユニットが、桑山千雪さん二十三歳と、大崎甘奈・大崎甜花姉妹十七歳二人の組み合わせであること――年の差があることを雑誌一つで表現したことですね。六年の差って小学校と中学校、GBAとDSくらいの差があります。アイドルたちって普段仲が良いから、何でも共有しがち、且つ出来るように思えるんですが、今回のように過去に失われたものは共有しづらいんですよね。そしてそれが復刊するという喜びは、尚の事分かち合えない。

 個人的にはこの雑誌の復刊にまつわるテキストも良かった。推論でしかないけれど、千雪さんが嘗て読んでいた雑誌を復刊するような、懐古的な話ではなかったと思います。大崎甘奈を前面に据えて、新しい雑誌としてリニューアルしようとしている……個人的に思い当たる節があり、その寂しさにも共感出来た気がしています。

 小説の参考になればと思って買っていた女性ファッション誌があったんです。好きだなーと直感したページを切り取って、スケッチブックに貼っていくのを三冊くらいやっていて、最初の頃に切り取ったページってとにかく構図も衣装も凄いんですよ。構図自体が良い、場所のチョイスが良い。だから着ている服がよりよく見えていて、なるほど写真の力強さをひしひし感じながら、毎号どのページを切り取るのか、嬉しい悩みが尽きなかったんです。でも、その感覚がある時から失われて、凄い構図よりもとにかく服服を沢山載せるようになって……最近は、あまり買わないようになりました。私の気のせいかもしれないんですが。

 ともあれ千雪さんの起源の片鱗が明らかになったのも良かったです。あとは四話、四話におけるはづきさんと千雪さんの会話シーン。背景と、効果音。そしてメインの会話。これで場の雰囲気が伝わってくるんですよ。言いづらいことを話すために酒の力を借りる千雪さんと、それに付き合っているはづきさんのくだけた口調。文字の力すげ~~~~~~~~~って思いました。活力になります。嫉妬もするけれど。

 顛末は是非とも読んでほしいのでこの辺で。あぁ、またシャニマスが好きになれた。

 

大橋トリオ『This is music too』

  お、Spotifyのリンクがちゃんと貼れましたね。なんかかっこいいですね。鳴らしてみたら音がめちゃくちゃ大きかったので気を付けてください。

 今月の1枚です。しみじみと聞き入れるアルバムって好きです。あと10曲くらいで終わるのがちょうどいいですね。BUMP OF CHICKENのアルバムは大体長いんですよ。

狂おしく降るこの雨に
悲しみさえ餌に走り
咲かない恋水を蒔いては
咲いている愛は枯れ果てたまま
――大橋トリオ『LOTUS』

  餌に走る悲しみはどんな形をしているのやら。

 

 ADVの方は相変わらずちまちまやっていて、2人目のヒロインが終わりました。そういうゲームをしています。何故Twitterの方で言及しないかは推して知るべし。
 小説はなんと長編を二週間くらいぶっ続けて書いている快挙です。偉い。本当に偉い。出来れば一ヶ月くらいで仕上げたい。ただ何を書いているかを話す時期はまだまだ先のよう。どんな壮大なプロジェクトなんだか。

 

1月のコンテンツ(嵐、はいふり、ハイキュー!、KIRINJI、Slay the Spire)

「偶然も故意も、一枚のつづれ織りの裏と表ですよ、お客さま。両方眺めてみて、どちらか片方をより好ましいと思うことはあるかもしれませんが、片方が真実でもう片方が偽りだということはできません」
――テッド・チャン『商人と錬金術師の門』

 偶然も奇跡も、一枚のつづれ織りなのでしょうか。どうもサイトロです。
 2020年の12分の1が終わったそうです。嘘乙。さておき1月は色々なコンテンツを摂取したので、その備忘録でも書こうかなと思い立った次第。2月も続けないと思うので最終回です。
 余談ですがエピグラフは『ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選』に収録の短編。12月に読んだ本ですね。

 

  

ドキュメント『ARASHI’s Diary -Voyage-』

 Netflixで公開されている嵐のドキュメント。
 嵐、言うまでもなくめちゃくちゃに人気があり、めちゃくちゃに活躍をしている。ドキュメント開始5分で天皇式典の映像とツアーの映像と活動休止の話が全部出来る。怖い。映像の質量が重すぎる。解散に至るまでにどんな激論があったのか、断片的ではありながら彼らが語る顔には、テレビで見ていた明るさは伺えない。
 今は第二話まで公開されている。松本潤がツアーの構成をひたすら錬っている。最前線のアイドルがツアーに向けてどんな場所で、どんな会話の中で、何をしているのか。その片鱗だけでも味わえるのは実に有り難い。前半ずっと悩ましげな表情で曲順や演出を錬っていた松本潤が、後半メンバが集まってのレッスンでは笑みを見せるようになる。飯の相談をして笑い合っている。振りを忘れたと苦笑い。
 当たり前の事ではあるのだけれど、嵐だって人間なのである。アイドルだって人間であるというのはここ最近とみに感じることで、先日モーニング娘。'19の握手会に参加した時にも、第一印象は『あ、人間なんだ!』という気持ちだった。遠くステージの向こうでパフォーマンスしている彼ら彼女らにも生活があるんだな、と改めて思えるようになってからは、益々アイドルを好きになることをちゃんとやりたいと思っている。
 リンクを貼りたいがNetflixはその機能がないらしい。調べれば出る。

アニメ『ハイスクール・フリート

 

初航海でピンチ!

初航海でピンチ!

  • 発売日: 2017/08/18
  • メディア: Prime Video
 

  Amazonプライムで配信中。
 1月26日に一気見。放映していた当時ははいふりカメラの存在くらいしか知らなかった。あと「はいふり!」ってタイトルで一話は放送していたような。劇場版の公開によってか周囲で見ている人が多かったので、まぁかわいいアニメなら見てもいいかなと思い何の気無しに再生。気付けば12話まで見終わっていた。
 全体的に駆け足気味だったので、もう少し些細な話を語る余地がほしかったけれども、そう思えるだけ楽しめたとも思う。とにかく毎話毎話新しい敵、新しい課題に対して果敢に挑んでいく展開が心地良かった。ちょうどRPGが思い通りに進んでいくのと一緒。情報量多めの会話で進んでいくし、何より展開が止まらないことが良かった。逆に、今までいけいけどんどんだった主人公が立ち止まることをピークに持っていくのは上手な構成だった。
 物語には常に選択がある。ただ現状を甘受するだけの物語に面白さなどない。何かを悩み、選択する理由を探し、択一しなければならない。選べないこともまた物語。『ハイスクール・フリート』は、その時々で選びうる選択肢の多さが豊富だったように思う。アドベンチャーゲームになりそうな題材だった。

漫画『ハイキュー!』

 1月の、と言うよりはずっと好きなコンテンツである。ここでは連載の話をする。

 

 

 

  ネタバレに配慮した間を作るためのかわいい画像。
 終章に入ってしまった。烏野高校としての三年間はあっけないと思うくらいに終わってしまい、日向対影山という第一話の構造で最大級の決戦が行われている。あと2年くらいこの強者同士の激闘をやってほしいのだけれど、さてどうなることやら。
 考えてみると烏野高校としての三年間が終わったということは、その他の高校の三年間も終わったことになる。あの時に名前の出てこなかった青城や白鳥沢は、きっとどこかに負けてしまったのだろう。その無数のドラマは読み手に委ねられた。『ハイキュー!』で二次創作し放題だな……!
 しかし最近の話における彼らの近況は、二次創作の書き手にしてみると値千金の情報のようで、妄想を打ち砕く銀の弾丸でもあり、なかなか悲喜交々ではないだろうかと思う。

 

楽曲『千年紀末に降る雪は/KIRINJI』

 昨年からKIRINJIを聴くようになった。きっかけはラジオから流れた『エイリアンズ』。結構有名らしい。


キリンジ - エイリアンズ

『エイリアンズ』も入ったアルバム『3』がすこぶる良い。その最後を務める『千年紀末に降る雪は』の話を少しする。

 戸惑いに泣く子供らと嘲笑う大人と
 恋人はサンタクロース 意外と背は低い
 悲しげな善意の使者よ 

 全体を通してサンタクロースと、彼の走る冬の季節が歌われている。

 君が待つのは世界の良い子の手紙
 君の暖炉の火を守る人はいない
 永久凍土の底に愛がある
 玩具と引き替えに何を貰う?

 暖炉の火は守られない。冷たいものと温かいものがこうも同居するか。

 帝都随一のサウンドシステム 響かせて
 摩天楼は夜に香る化粧瓶
 千年紀末の雪!
 嗚呼、東京の空を飛ぶ夢をみたよ

 KIRINJIの曲が染み入るようになって、その歌詞を聞くとミニチュアの舞台のような広がりが想像される。帝都随一のサウンドシステム――夜の闇に隠れて見えないような、大きくて壮大な音響装置が、千年紀末の雪に晒されている。
 ひどく寒い日に気分が悪くなって何かに縋りたい一心で歌詞を諳んじ何とか乗り切った。思い出の中でこそ音楽はよく響く。この曲を聴く度に、あの肌寒さを思い出すのだろう。

 

 さてそんな話をブログに書こうと思っていた矢先に、現体制の解散が報じられた。今のKIRINJIは『3』の頃のデュオユニットではなく、複数人によるバンド体制が敷かれている。それもまた終演を迎え、よりフレキシブルな体制で活動するらしい。
 私が好きになったKIRINJIはとうにいなくて、今好きになりつつあったKIRINJIもまた姿を変えることになったけれど、まぁ時間には変遷が付きもだからと、そこまで悲観もしていない。ただ、素直な気持ちとしては、兄弟ユニットだった頃に出会いたかったとは思う。

 

KIRINJI TOUR 2013~LIVE at NHK HALL~ [Blu-ray]

KIRINJI TOUR 2013~LIVE at NHK HALL~ [Blu-ray]

 

  とりあえずライブBDは買おうと思う。

ゲーム『Slay the Spite』


Slay the Spire [Indie World 2018.12.27]


 これはカードゲームだ。
 プレイヤーは毎ターンの最初に5枚ドローし、エナジーを消費してカードを使う。ターンの終わりに全ての手札を捨て、敵の攻撃を受ける。戦闘が終わればダンジョンの奥地へと進み、色々なイベントを経て、ボスを倒すことを目指す。レリックという装備を集めることで、使えるエナジーが増えたり、使用するカードの枚数に対して効果が出てくる。スタートのデッキは共通だけれど、その後手に入るカードもレリックも異なるから、毎回その場その場で最適なデッキを構築しなければならない。
 初期装備の異なる4人のキャラクターがいて、そのうちの一人、サイレント(暗殺者。カードを組み合わせて戦う)でばかり遊んでいる。楽しいからではなく、全然上手くいかないからである。アイアンクラッド(騎士。カード単体で強い)やディフェクト(ゴーレム。オーブという特殊なシステムで戦う)は1~2回でレベル3のボスまで倒せたのだけれど、サイレントは10回に1回くらいしか成功しない。カードとレリックの組み合わせを吟味しないと、半端なデッキではボスに競り負けてしまう。毎夜毎夜あの選択が悪かったのか、あの時こうすれば良かったと風呂場で悶える日々。それも含めてたまらなく楽しい。
 一応真ボスまでにしようとは思っているけれど、そこに至るまではまだかかりそう。二月はP5S(ペルソナ5の無双ゲーム。終盤30時間ぶっ続けで遊んでクリアした)しか買わない予定なので、まぁなんとかなるだろう。

 

 1月はこの他にもADVゲームに手を出したり、『スターウォーズ』シリーズを見たりしていた。あと香川旅行ね、香川。うどんをたくさん食べてきた。最上静香との旅行の体でした。そうでしたって言ってるでしょ。
 2月は色々インプットしつつ長編に取りかかる予定。プロットが半分くらい固まっている。とあるアイドルの道行きについて書いていくから、なるべく慎重にやりたい。その関係で暫くは小説を投稿することはなさそう。

モーニング娘。’19の握手会に行ってきたよ~♪

人生って
ここぞっていう日があるんだね
――モーニング娘。’19『人生Blues』

 


モーニング娘。'19『人生Blues』(Morning Musume。'19 [The Blues of Life.])(Promotion Edit)

 アッッッッッッッッッッキャプションに譜久村さんが映ってるぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 どうもサイトロこと感情めちゃくちゃ人間です。
モーニング娘。’19』の握手会に参加したレポです。
 おうちに戻って一息つく前にこれを作っていて、基本Twitterに書き散らしたことをまとめたり引用したりしています。タイトルは軽快にしましたが、内容はめちゃくちゃです。個人的な備忘録として、そして未のな感情めちゃくちゃ人間のために書きました。
 どの握手会に参加したかは伏せますが、時間帯で察してください。

 

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DEATH STRANDING MeMo #1

「なわ」は、「棒」とならんで、もっとも古い人間の「道具」の一つだった。「棒」は、悪い空間を遠ざけるために、「なわ」は、善い空間を引きよせるために、人類が発明した、最初の友達だった。「なわ」と「棒」は、人間のいるところならば、どこにでもいた。
安部公房『無関係な死・時の崖』

 「なわ」を求めて三年経ちました。どうもサイトロです。

『DEATH STRANDING』めちゃめちゃやっている。正直こうして文字を打つ間にもコントロールを持ちたくて仕方がない。今日で中部大陸のメインストーリーが終わったらしいので、早くフレッパーズの好感度を上げに行きたい。新しく使えるようになったあれこれを試したい。フォトジェニックな一枚を撮りたい。荷物運びたい。

 それでも書く。『DEATH STRANDING』というゲームを遊んだ記録として、現時点での謎や疑問点、所感などをつらつら書いていく。半ばツイッターと一緒。

 ここから先はストーリーなどのネタバレが含まれる、多分核心に触れることは無い。ほぼほぼ個人の備忘録。#1と書いたんですが#2は多分クリアした後に書くことになりそう。

 では早速、座礁した世界の備忘録へ。

 

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ホントの話と、未来の希望

だからつまり、うちは光ってない状態でもええなーって思ったわけよ。

――『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話』より

  『真昼のイルミネーション』

  光っていましたよ。どうもサイトロです。

 四時に目が覚めたので、読みました。
 『響け! ユーフォニアム』シリーズ自体は映画『リズと青い鳥』を見てからアニメを経て、『誓いのフィナーレ』に至っておりました。それ故に、誓いの結末に思う所があり、ずっとそれを抱えていた所した。
 今回は小説『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話 』を通して朝方に得た感傷と、とある形で続く、彼女たちの物語について書き記します。
 劇伴は当然、Homecomingsで。『Cakes』も好きです。


Homecomings - Songbirds(Official Music Video)

 

 

1. あの日終わったコンクール

『誓いのフィナーレ』にて、全国大会を目指していた北宇治高校はあっけない――あまりにもあっけない結末を迎えた。愕然とした。こんなのってないじゃないかと思った。
 贔屓目だとは分かっている。『リズと青い鳥』で少女たちが見据えた道が、こんなにもあっさり終わってたまるかというのは、不躾なことだと分かっている。主人公たちのために三年目の、最後の全国大会の意味合いをより強めることだと、十分分かっている。そういえばだけど、三部作であるところの『バック・トゥ・ザ・フューチャー』もpartⅡはpartⅢのためにあるような結末だった。あれで一年待たされるのはしんどかっただろうなぁ。閑話休題
 そう思っても結末は変わらないわけで、結末がもどかしかったとTwitterに書いた後、一度友人と飲み会で話したことがあった。曰く、それは作中における『セントラル・クエスチョン』(主人公の解決しなければならない問題)が解決していないからではないか、と。これはこれで一つの記事になりそうなのだけれど、敢えて今回はこれ以上は書かない。少なくとも、久美子に示された問題は解決――というか、すべては三年目に持ち越しとなったと思っている。
 そして今日に至る。Twitterにて勧められ、いずれ読もうとは思い購入こそしていたけれど、まさかこんなに早く読み終わるとは思わなかった。
 少しだけ、期待していた。あの日終わってしまった道を見て、彼女たちがどう思っているのか。劇場では明示されなかったことが明らかになるのではないか、と。しかし、そうはならなかった。今書きながら思ったけれど、それを知りたければ本編第二章にしか書いてないだろうに。

 

2. 真昼の光に隠れる、イルミネーション

 そろそろ本題を書く。エピグラフにも書いた、『真昼のイルミネーション』の話がしたかった。
 夏紀先輩はユーフォニアムから離れようとする。ひたすらに全国を目指し、挑んだ日々はかけがえのないもので、こここそがピークであると信じている。対して希美は、音楽はもっと気楽にやって良いと言う。
 私は改めて思い知らされる。既に二度目の挑戦は終わり、途絶えた道のほうを、彼女たちは見ていないことを。大学生活に思いを馳せながら、ギターを始めることを空想する夏紀先輩は、一つの希望に見えた。
『響け! ユーフォニアム』は徹頭徹尾コンクールでの優勝を目指す物語だ。本短編で描かれる部活のシーンは、すべてがコンクールのための糧としての役割を持っている。
 その物語の隙間に、音楽との付き合い方の折衷案が出てくれるのは、優しいシーンであり、久美子たちには出来ないと思った。

だからつまり、うちは光ってない状態でもええなーって思ったわけよ。

――『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話』より

  『真昼のイルミネーション』 

  弱い光だったと思う。
 事実だけを書いてしまえば、夏紀先輩たちの代では、全国大会には辿り着かなかった。夏紀先輩は度々実力の不足が描かれ、『誓いのフィナーレ』では問題の発端となった。
 だけど諦めなかった。
 最後まで吹いていた。
 高潔さというよりは、地に足を付けた優しさと誠実さが備わっているのだと思う。それはこの短編で語られる以下の件からも分かる。

自分ももしかしたらそういう大人になるんかもしれへんっていう可能性なんかもしれんわ。誰かの好きを踏みにじってても気づかへんような大人にさ。

――『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話』より

  『真昼のイルミネーション』 

 正しい自分ではなく、間違うかもしれない自分を想像することが、出来るだろうか。
 真昼の光に潜む、イルミネーションのような警告。

 

3. 未来の希望

 最後に未来の希望について書く。これはまだ、最終楽章を買っただけの私が話すことなので、それを了承していただきたい。
 未来を描いている人がいる。それは、中川夏紀がギターを弾いている未来だ。

 所謂二次創作ではあるけれど、可能性としての未来がここにある。生活と苦悩、その中に音楽があることを物語としてしたためている。丁寧な物語は、彼女たちが第二楽章を経ても尚、短いながらも同じ時を過ごしていることを描いている。
 幸いなことだと思う。
 この物語もいつしか終わってしまうのだろうけれど、それでも、思う。
 夏紀先輩が誰かの希望に――いつかよりも明るさを増した光であってくれたら、と。

 

 

 何やら仰々しく書いてしまったけれど、私は『響け! ユーフォニアム』シリーズも、かの二次創作のシリーズも、引き続き追いかけていきたいと、そんなことが言いたかったのだと思う。あとは警告。忘れてはならない警告。
 警告――については、同日に読んだ本にも関わりがあり、実は今日は、それについての記事を書く予定だったのだけれど、先延ばしになってしまった。もっとサクサクと書き上げるつもりが、思ったよりも長く掛かってしまった。
 ともあれ次回がありましたらその時に。
 余談ですが、さきほど『リズと青い鳥』のブルーレイを買いました。
 もう一度、彼女たちの物語を振り返るために。あの日劇場で見た興奮――スクリーンに光が絶えた瞬間の、二度とは味わえないであろう感覚を、忘れるために。


 いつかは何もかもが思い出になるのでしょう。

 

 

By making it a song,

Can I keep the memory?

I just came to love it now.

(歌にしておけば、忘れられないでいられるだろうか。

 たった今好きになったことを。)

――Homecomings『Songbirds』