2016年九月月報

 ふつうの手である。大きくもなければ小さくもない。長くもなければ短くもない、毛深くもなければツルツルでもない、マニキュアをしてはいないが汚れてもいない、やわらかくはないが強ばってもいない、皺が多くはないが若々しくもない。とても人殺しの手とは思えないが、罪を知らぬ手ではない。まるで奇蹟を待ちのぞむように、かれはその手を凝視した。
――レイブラッドベリ『太陽と黄金の林檎』より『鉢の底の果物』

 手を見るという一つのモーションでここまで書けるということ。どうもサイトロです。
 九月の月報です。誕生日小説完結時に記事を書いていたので、実は忘れていました。そういえば来月から更新出来るのか。ともあれラインナップ。

 

1. 風に花

2. 四つの書籍

3. 雨が上がるまで

4. プロローグ・レコーディング

5. 昴、探して

6. Anatano-Me♡

 

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『ミリオンライブ! 誕生日小説』シリーズを終えての雑感

どうか急いで
どうか終わらないで
思い出になってどうなるの
――GRAPEVINESPF

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 今回の記事は一つの思い出のようなものです。どうもサイトロです。
 以下私事なことをつらつらと書くだけです。

 

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  2016年9月26日は、『アイドルマスターミリオンライブ!』のキャラクタ、ジュリアの誕生日です。そして、51作目の短編シリーズを投稿する日でもありました。

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 昨年の10月5日、田中琴葉の誕生日から、から、『アイドルマスターミリオンライブ!』のキャラクタ全員(厳密に言えば、アイドル全員)に、小説を書くというシリーズを始めました。そのキャラクタの誕生日、零時零分に投稿するということを50回繰り返してきました*1
 一年、かかりました。たかが一年されど一年。ともあれ一年。
 今回は少し過去を思い返しつつ、このシリーズは何だったのか、何かを残せたのかということを、考えてみようかと思います。

*1:短編は51作なのに50回なのは、二階堂千鶴の誕生日のみ一時間投稿が遅れたからです。

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2016年八月月報

「決めろ。「しかたがない」ことなど、なにひとつない。選べばいい。選びとればいい。だれもがそうしているんだ。ひとりの例外もなく、いつも、ただ自分ひとりで、決めている。分岐を選んでいる。他の可能性を切り捨てる。泣きべそをかきながらな」
――飛浩隆『グラン・ヴァカンス 廃園の天使Ⅰ』

 決めること、別の道を選べない辛さに気づいたのは何時だったか。どうもサイトロです。
 もう少しだけ話をすると、こんな二次創作をやっている人間は、時折「もしもこの時間を別のことに使えたら」と思ってしまいます。というか、集中していない時は殊にそういうことばかり思っています。そんな、隣の芝生ばかり見てしまう悪癖を治したいと思って何年経ったか。
 ともあれ小説、脇目を振りながらも五年目です。処女作を書いたのは夏の日のことでした。似非ミステリを書いていました。それが終わり、ふと、アニメ『アイドルマスター』を見ていたことが始まりでした。あの頃の自分にこう言ってあげたいものです。「学生の内に三冊は同人誌を刷れ」と。
 前置きが長くなりましたが、八月の月報です。Twitterをご覧になると一目瞭然ですが、今月きつかったです! そして来月、再来月もきついです! 地獄、修羅場! ともあれ月報。

 

1. Re:startline高坂海美の誕生日を記念して)

2. おめでとうが言いたくて(矢吹可奈の誕生日を記念して)

3. これが恋なら(篠宮可憐の誕生日を記念して)

4. あなたと踊りたい(菊地真の誕生日を記念して)

 

1. Re:startline

www.pixiv.net【あらすじ】
 これは、俺がもう一度走り出す物語。
 静かな夜に出会った、彼女との物語。
 もう二度と、走りたくなかったのに。
 俺は、スタートラインに立っていた。
「……ようい」
 彼女は言う。
「どんっ!」
 彼女は、始まりを叫ぶ。
【登場人物】
『俺』
 高坂海美
【作者端書】
 高坂海美の誕生日を記念して、彼女に出会った少年との物語を執筆しました。僕にとって彼女は、誰かを元気づけることが出来る子です。それは、アイドルという手段を持っていても、持っていなくても、きっと変わりません。誕生日、おめでとう。これからも高坂海美の笑顔が、誰かの背中を押すと信じています。
 以下メイキング。
 別件で『響・海美・環』のユニット話を書く予定があり(近々脱稿)、そういえば海美はちゃんと書いたことがなかったので、「さてどうしようかなっ」と思った直後にこのストーリーラインが出てきました。書き留めた後、自分の才能に震えました。

2. おめでとうが言いたくて

www.pixiv.net【あらすじ】
 明日は、矢吹可奈の誕生日。
 伝えたい言葉は、口の中に隠れている。
 明日は会えないから。でも、一日早いから。
 北沢志保はスマートフォンを見つめている。
【登場人物】
 北沢志保
 横山奈緒
 矢吹可奈
【作者端書】
 矢吹可奈の誕生日を記念して、おめでとうが言いたい北沢志保の物語を書きました。いつか、可奈が志保を祝ったように、今回は志保に可奈を祝ってほしかったのです。副題は『ささやかなしあわせ。』です。
 電話という会話劇を書いたら思いの外地の文が少なくてSS掲示板でも良かったと思ったりしました。
 対になる過去作、矢吹可奈が北沢志保の誕生日をお祝いする話はこちら。

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3. これが恋なら

www.pixiv.net【あらすじ】
 次の公演は、八月二十七日。篠宮可憐の誕生日。
 その内容を決める会議で、可憐はこう言った。
「プ、プロデューサーさんは……関わらないで、ください」
 その言葉の意味が分からないまま、幕は上がる。
【登場人物】
 篠宮可憐
 プロデューサー
 秋月律子
 福田のり子
 所恵美
 その他当日の公演に関わったメンバ
【作者端書】
 篠宮可憐の誕生日に、劇場で開催された誕生日公演にまつわる短編を書きました。可憐が歌うバラッド、何時か聴いてみたいものです。おめでとうございます。貴女の勇気は確かに、誰かの支えになっています。
『これが恋なら』の作詞をしようと思ったのが、本短編のきっかけでした。歌詞に合うメロディを想定して、そこから繋がりを付けていって、最後は語感を優先しまいた。小説を書くこととはまた違った作業でしたが、楽しかったです。
 記事の終わりに歌詞全てを載せておきます。

4. あなたと踊りたい

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【あらすじ】
 菊地真篠宮可憐
 二人が踊るは、王子と姫の物語。
 夜に出会った二人の距離は遠い。
 曲目は、『あなたと踊りたい』。
【登場人物】
 プロデューサー
 菊地真
 篠宮可憐
【作者端書】
 菊地真の誕生日を記念して、二人が物語を踊る物語を書きました。菊地真を主役に据えて書くのは、アイマス小説を始めてから四年目で初のことでした。あと、〆切が二日を切っている中で8000文字の短編を出力したのも初めてでした。いやはや。
 ひたすらに格好良くて、それでいて可愛らしさを併せ持つ貴女のこれからが、ますます輝きに満ちていますように。

 

 さて上記のように、11月には新しい同人誌が出ます。これまで投稿してきた誕生日小説を、pixivの評点が多いものや個人的に気に入っているもの、書籍として残しておきたいものをセレクションしました。ぼちぼち校正作業に入ります。乞うご期待。
 誕生日小説、残すは後一ヶ月となりました。最後まで、この道だけは走り抜きたいと思う所存です。それでは、こちらからは以上です

 

補足:『これが恋なら』歌詞

 最初は、目も見れなかった
 話す言葉も小さくて、弱くて
 それでも、アナタは笑って
 隣に立ってくれた
 
 ゆっくりと、でも確かに一歩
 私、歩いてきました
 横顔をそっと見る度に
 胸の奥、痛くて
 
 これが恋なら
 言葉にできたら
 まだ、口はふるえて
 困らせてしまう
 だけどいつか
 いつか、伝えたい
 今はまだ、痛みの中
 言葉探してる
 
 春の香りがする頃は
 もっと、もっとそばにいたい
 手を伸ばして、笑っていたい
 だから、前を向くよ
 
 これが恋なら
 ちゃんと伝えよう
 今、私はアナタの
 目を見つめて、そして
 
「すきです」
 届いてほしいな
 今はもう、目を閉じて
 返事待っている

 

お盆休み中に読んでおきたいミリオンライブ! 小説16作

  さてお盆です。お盆休みです。何かとスマホに 触っているしかない状況が度々あることでしょう。親戚とテレビを見ているしかない時や、長距離の移動中等等。そんな時間のお供に、と思いましてミリオンラ イブ! のSSを14作ご紹介しようと思います。オススメしたい推薦作9本と、自作7本という内訳です。早速ラインナップをどうぞ。
 各タイトルがそのまま作品ページへのリンクになっております。読みたいと思ったら即刻クリック。

  1. un-touchable your.
  2. 初恋への葬歌
  3. 暗号解読はおやつの前に
  4. 砂糖パズル
  5. 図書室の暴走特急〈廃園の天使〉
  6. プレアデスの瞳
  7. 西瓜を割る
  8. 真壁オンザボード
  9. いくもも
  10. 幻のアマミハルカ
  11. 雨夜の二人、静かなるロマンス
  12. そばにいたい
  13. 花嫁は一人で歩くのか?
  14. 夜空にリンゴ
  15. 幸せのアイス
  16. 羽ばたいて、飛び立って
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2016年七月月報

 回転ドアというメカニズムは、いつだって、自分が二十日鼠とさして違わない存在だと再認識させてくれる。そして、ごく誓い未来への多少の緊張感で、そこを通る者を一つずつラッピングする装置だ。
――森博嗣人形式モナリザ』第4章『さてここで死者たちの空無さを当てにする者』

 先日の旅行で回転ドアを通過しました。どうもサイトロです。
 月報です。今月は若干多いですね。

1. ひなた、いっしょに寝よか!

2. ミリP「静かなる祈り」

3. ステキなことをみつけましょう

4. 幸せのアイス

5. 光の冠、君の顔

6. 羽ばたいて、飛び立って

 

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20160731-0801_関西遠征録

「どこにいるのかは問題ではありません。会いたいか、会いたくないか、それが距離を決めるのよ」
――森博嗣すべてがFになる真賀田四季

 会いたいと思ったので会いに行きました。
 どうもサイトロです。今回はきわめて個人的な話です。毎度のことでは? 

 7月31~8月1日の二日間、関西の方で遊んできました。その道すがらで考えたこと、話したことについて、書き残しておこうと思います。全てを頭の中に収めておけるほど起用では無いのです。そのためか、普段は滅多に写真を撮らない質なのですが、幾つかこの記事のためにと撮影しておきました。百聞は一見にしかず、というやつですね。

 ではラインナップ。

1. 京都、金閣寺龍安寺

2. ビール、そして伏見稲荷

3. 兵庫の北沢志保と水族館へ

4. ビールクズ、二人。

5. そして遠征は終わる。

6. 移動中の楽曲群について

7. 空港でのつぶやきまとめ

 

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2016年六月月報

 ここで再開するような大団円はない
 けど他に展開はないのかい
 ――GRAPEVINE『1977』


GRAPEVINE -1977

 

 何かの終わりに流れて欲しい一曲。
 けれど終わりなんて、そう来て欲しいものでもなく。
 ともあれサイトロです。
 6月の月報です。月半ばにちょっと時間が空いたので油断をしていたら、後半泣きながら〆切と戦う羽目になりました。ともあれ四作揃ったのでラインナップ。

1. アイドルをはじめよう

2. 雨夜の二人、静かなるロマンス

3, それは、なつの、どこか

4. 祝福の嵐

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