年末年始に読んで欲しいミリオンライブ! 小説12選
「運命なんてただの影だ。臆病者だけがそれを見るんだ」
――「機龍警察 暗黒市場」
一年間色々やってこきたのは運命かそれとも必然かはたまた偶然か。ともあれ良くやったなぁと少々鼻を高くするサイトロです。
さて年末です。つまりは年始も近いですね。何かとスマホに触っているしかない状況が度々あることでしょう。親戚とテレビを見ているしかない時や、長距離の移動中等等。そんな時間のお供に、と思いましてミリオンライブ! のSSを12作ご紹介しようと思います。オススメしたい推薦作6本と、自作6本という内訳です。自薦大好きも此処に極まれりという感じですが、早速ラインナップをどうぞ。
先ずはオススメ6本。こちらは投稿時間の順番です。各タイトルがそのままpixivの作品ページへのリンクになっております。
こちら自薦は、自分のオススメ度合いやら完成度やらを総合してトップ6並べました。
それでは順にどうぞ。
以下の【あらすじ】や【登場人物】は自分が書いたもので、作者様のキャプションから引用しておりません。【登場人物】は、キャラクタで読むお話を決める方用に付けているので、話に登場する主要なキャラクタを記載しています。
【あらすじ】
都心を雪が包み込み、仕事がキャンセルになった日のこと。田中琴葉は、何をするでもなく事務所を訪れた。巡りめく、突如浮き出た時間への思い。静かな午後の事務所で出会うプロデューサーと、十二月に食べるアイスの味。
【登場人物】
田中琴葉
プロデューサー
【推薦コメント】
琴葉の一人称語りというのは、ひとりでに思考がぐるぐると渦を巻く特徴があるように思います。それは、自虐とまでは言わないものの自己評価が低い彼女らしさだと思っていて、この物語では仕事がキャンセルになったという、たったそれだけのことで思いを巡らす彼女が描かれています。何かが始まるでも終わるでもなく、しかし一日は続いていく。穏やかな一編で、何度も読み返しています。
【あらすじ】
雨音だけが、姫と聖母の一夜を見ていた。罪を語るのはどちらか。
花弁に落ちた露が朝日にきらめいた時、二人は――――。
【登場人物】
徳川まつり
天空橋朋花
【推薦コメント】
紫陽花が咲く頃には終わってしまう物語。どちらも心は隠し、言葉のみが夜を淡く染めていく。作者と同じく、彼女の幸せを切に願いますが、しかし何が彼女にとって幸せであるか、私はずっと考えてしまいます。
【あらすじ】
田中琴葉は夏に酔っていた。
触れる手は彼女から夏を奪っていく。
だいじょうぶ? たずねる声と、少女のわがまま。
【登場人物】
田中琴葉
プロデューサー
【推薦コメント】
夏の風景、バス停の空気がそのまま伝わってくるような物語です。少し青春のような甘酸っぱさのある、素敵な物語です。読んだ後、心拍数が上がっていたことに気が付きました。
【あらすじ】
765プロ主催のイベント、キラキラアイドル七夕祭り。
北上麗花は演じることとなった織姫に思いを馳せる。その表情に時折、寂しさが浮かんでは消える。
そんな時、とあるゴシップ誌が事務所の面々を悩ませる。
北上麗花の母親、既に死別した人物についての捏造記事。
蘇る過去、病室、母の顔。そして、一年に一度しか会えない織姫と彦星。
ここに、北上麗花という一人の人間が、息衝いている。
【登場人物】
北上麗花
プロデューサー
水瀬伊織
北沢志保
音無小鳥
【推薦コメント】
北上麗花さんは、発言から行動から容姿から破天荒で、果たして人なのかと疑ってしまいたくもなります。しかしこの物語を読み終わった時、彼女の行動にはこんな意味や理由があったのかもしれないと思うと、僕は彼女のことが増々好きになりました。
【あらすじ】
一枚のファンレターが、アイドルとファンの心を繋ぐ。
今日も七尾百合子はそんな瞬間を待ちわびつつ、プロデューサーからファンレターを受け取る。喜びに胸を躍らせる中、ふと側の光景に目が止まる。無表情の天空橋朋花と、一枚の便箋。
祝福の終わりは、静かに始まる。
【登場人物】
天空橋朋花
七尾百合子
望月杏奈
【推薦コメント】
七尾百合子の軽快な語りと共に進んでいく、天空橋朋花にまつわる物語。祝福は終わりで、しかし終わりには祝福がある。そして終わっても尚、物語は続く。彼女の過去と現在、聖母と呼ばれる所以について深く掘り下げた物語です。
【あらすじ】
高山紗代子の誕生日が近づいていた。
七尾百合子と北沢志保は、彼女へのプレゼントを画策する。しかし二人は衝突し、準備も上手く進まない。
そんな時、冬の街に不思議なことが起こる。
ソリ、サンタ、パーティ、アトマイザ、タイムループ。
果たして、プレゼントの行方は。
【登場人物】
高山紗代子
七尾百合子
北沢志保
【推薦コメント】
高山紗代子の誕生日を記念する作品であり、ミリオンライブ! の一年を締めくくるに相応しい物語になっています。アイドルたちの日常に潜んだ幻想がとても魅惑的で、こういったことが出来ることこそ二次創作の醍醐味だと思います。
さてここからは自薦ベスト6。
【あらすじ】
夕暮れの中、二人は対峙していた。
プロデューサーは静かに、躊躇いながらも口を開く。
「指輪を、返してくれないか」
今日は琴葉の誕生日。指輪は、一年前のプレゼント。
指輪の行方、そして二人の行く先とは。
【登場人物】
田中琴葉
プロデューサー
【作者端書】
まるで冒頭のプロデューサーのように書き始めることを躊躇ってしまい、一度は書けないのであれば引退しようとも思った本作。そうして悩んだ末に書き上げて、皆様に多大な評価を頂いた本作は、2015年のベストであると自負しています。余談ですが、指輪をネックレスにして、二十歳のプレゼントにすることが話の骨子でした。しかし書いてみた時、「指輪と共に思いを隠したい」とプロデューサーが言った(ここは文字通り、彼が言ったのだと思います。私の思惑を飛び越えて)ので、ああいった形、そしてラストになりました。
【あらすじ】
天空橋朋花と「私」の異国旅行記に、或る人物の回想が入り交じる物語。
花を巡る物語の終点に、雫が一つ。
【登場人物】
天空橋朋花
プロデューサー
【作者端書】
タイトルの三文字で物語の結末を物語らせています。強い意味はなく、ただ純然とした事実だけがこの物語の全てです。二人の旅行の理由や、「花に雫」の理由も、当人のみぞ知ることです。作者が思っている答えも、果たして合っているかどうか。
【あらすじ】
新人アイドル・七尾百合子はプロデューサーから一冊の本を受け取る。
『この本を読んで、感想をお話し出来るようにしておいて下さい』
そして、暴走特急は静かに出発する。それは、一人のアイドルの始まりでもあった。
【登場人物】
七尾百合子
プロデューサー
【作者端書】
作品詳細については作品ページのキャプションにて。現存する作品を扱うだけに、誤字脱字には普段以上に気を遣いました。『アイ・ロボット』のあらましを説明しつつその魅力をネタバレなしで話し、更には物語としてまとめることが非常に困難でした。最終的に、百合子がラジオで思いの外饒舌になってくれたことが、完成の後押しをしてくれました。今年一年、七尾百合子には助けてもらってばかりでした。
【あらすじ】
――
此処では誰もが仮面を身に纏い、一夜の夢に溺れゆく。
夢の中、一組の男女が密やかに出会う。
仮面の下に、正体を隠しながら。
【登場人物】
田中琴葉
仮面の男
【作者端書】
ミリオンライブ! 内のイベント「トリート♪トワイライトパレス」の告知を見た途端にテンションが上がり、そのままの勢いで執筆した作品です。書いた時こそテンションは高いですが、作品自体はとても静かで幻想的になったと思います。余談ですが、タイトルだけならば今年のベストだと自負しています。
【あらすじ】
日記。紫色の日記。南京錠で閉ざされた日記。
屋上への出口に、それは置いてあった。
果たして、持ち主は一体誰なのか。
七尾百合子の推理が始まる。
【登場人物】
七尾百合子
プロデューサー
【作者端書】
ミリオンライブ! をメインに書いていくきっかけとなった作品です。似非ミステリにも挑戦してみました。名探偵・七尾百合子の謎解きがぐるぐると巡りめく作品になっております。名探偵の推理第二弾はこちら。
【あらすじ】
琴葉はアイスを食べていた。
俺には見せない笑顔と共に。
幾年を重ねた、二人の物語。
【登場人物】
田中琴葉
所恵美
プロデューサー
【作者端書】
アイスを食べているだけの物語ですが、大人になった琴葉や恵美の暮らしぶりについても描いてあります。どんな形であれ、幸せであってほしいものです。
SS12選は以上になります。
推薦自薦共に、素晴らしいものをご紹介出来たと思っております。あらすじ等々がそれに見合っていると良いのですが。ミリオンライブ! の小説がより読まれることをいち作者として、そしていち読者として切に願っております。
以下余談です。最初はキリ良く10選にする予定でしたが、投稿予定日であった12月29日に『6. ライブシアターの冬を愛す、あるいは五日後の想い出』が投稿され、更には自作『 6. 琴葉はアイスを食べていた』もオススメしたかったので、2つ足して12選としました。10も12も似たようなものです。
こちらからは以上です。