2016年八月月報
「決めろ。「しかたがない」ことなど、なにひとつない。選べばいい。選びとればいい。だれもがそうしているんだ。ひとりの例外もなく、いつも、ただ自分ひとりで、決めている。分岐を選んでいる。他の可能性を切り捨てる。泣きべそをかきながらな」
――飛浩隆『グラン・ヴァカンス 廃園の天使Ⅰ』
決めること、別の道を選べない辛さに気づいたのは何時だったか。どうもサイトロです。
もう少しだけ話をすると、こんな二次創作をやっている人間は、時折「もしもこの時間を別のことに使えたら」と思ってしまいます。というか、集中していない時は殊にそういうことばかり思っています。そんな、隣の芝生ばかり見てしまう悪癖を治したいと思って何年経ったか。
ともあれ小説、脇目を振りながらも五年目です。処女作を書いたのは夏の日のことでした。似非ミステリを書いていました。それが終わり、ふと、アニメ『アイドルマスター』を見ていたことが始まりでした。あの頃の自分にこう言ってあげたいものです。「学生の内に三冊は同人誌を刷れ」と。
前置きが長くなりましたが、八月の月報です。Twitterをご覧になると一目瞭然ですが、今月きつかったです! そして来月、再来月もきついです! 地獄、修羅場! ともあれ月報。
1. Re:startline(高坂海美の誕生日を記念して)
2. おめでとうが言いたくて(矢吹可奈の誕生日を記念して)
3. これが恋なら(篠宮可憐の誕生日を記念して)
4. あなたと踊りたい(菊地真の誕生日を記念して)
1. Re:startline
www.pixiv.net【あらすじ】
これは、俺がもう一度走り出す物語。
静かな夜に出会った、彼女との物語。
もう二度と、走りたくなかったのに。
俺は、スタートラインに立っていた。
「……ようい」
彼女は言う。
「どんっ!」
彼女は、始まりを叫ぶ。
【登場人物】
『俺』
高坂海美
【作者端書】
高坂海美の誕生日を記念して、彼女に出会った少年との物語を執筆しました。僕にとって彼女は、誰かを元気づけることが出来る子です。それは、アイドルという手段を持っていても、持っていなくても、きっと変わりません。誕生日、おめでとう。これからも高坂海美の笑顔が、誰かの背中を押すと信じています。
以下メイキング。
別件で『響・海美・環』のユニット話を書く予定があり(近々脱稿)、そういえば海美はちゃんと書いたことがなかったので、「さてどうしようかなっ」と思った直後にこのストーリーラインが出てきました。書き留めた後、自分の才能に震えました。
2. おめでとうが言いたくて
www.pixiv.net【あらすじ】
明日は、矢吹可奈の誕生日。
伝えたい言葉は、口の中に隠れている。
明日は会えないから。でも、一日早いから。
北沢志保はスマートフォンを見つめている。
【登場人物】
北沢志保
横山奈緒
矢吹可奈
【作者端書】
矢吹可奈の誕生日を記念して、おめでとうが言いたい北沢志保の物語を書きました。いつか、可奈が志保を祝ったように、今回は志保に可奈を祝ってほしかったのです。副題は『ささやかなしあわせ。』です。
電話という会話劇を書いたら思いの外地の文が少なくてSS掲示板でも良かったと思ったりしました。
対になる過去作、矢吹可奈が北沢志保の誕生日をお祝いする話はこちら。
3. これが恋なら
www.pixiv.net【あらすじ】
次の公演は、八月二十七日。篠宮可憐の誕生日。
その内容を決める会議で、可憐はこう言った。
「プ、プロデューサーさんは……関わらないで、ください」
その言葉の意味が分からないまま、幕は上がる。
【登場人物】
篠宮可憐
プロデューサー
秋月律子
福田のり子
所恵美
その他当日の公演に関わったメンバ
【作者端書】
篠宮可憐の誕生日に、劇場で開催された誕生日公演にまつわる短編を書きました。可憐が歌うバラッド、何時か聴いてみたいものです。おめでとうございます。貴女の勇気は確かに、誰かの支えになっています。
『これが恋なら』の作詞をしようと思ったのが、本短編のきっかけでした。歌詞に合うメロディを想定して、そこから繋がりを付けていって、最後は語感を優先しまいた。小説を書くこととはまた違った作業でしたが、楽しかったです。
記事の終わりに歌詞全てを載せておきます。
4. あなたと踊りたい
【あらすじ】
菊地真と篠宮可憐。
二人が踊るは、王子と姫の物語。
夜に出会った二人の距離は遠い。
曲目は、『あなたと踊りたい』。
【登場人物】
プロデューサー
菊地真
篠宮可憐
【作者端書】
菊地真の誕生日を記念して、二人が物語を踊る物語を書きました。菊地真を主役に据えて書くのは、アイマス小説を始めてから四年目で初のことでした。あと、〆切が二日を切っている中で8000文字の短編を出力したのも初めてでした。いやはや。
ひたすらに格好良くて、それでいて可愛らしさを併せ持つ貴女のこれからが、ますます輝きに満ちていますように。
ISF02にて、ミリオンライブ小説短編集『星が生まれた日(仮題)』を頒布予定(本人不参加につき、委託です)。pixivに投稿してきた誕生日小説のベスト盤ならぬベスト版。全十編予定、収録タイトルについては後々。トライスタービジョンの新作短編も収録予定。 #ISF_1103
— サイトロ (@sytlo) 2016年8月31日
さて上記のように、11月には新しい同人誌が出ます。これまで投稿してきた誕生日小説を、pixivの評点が多いものや個人的に気に入っているもの、書籍として残しておきたいものをセレクションしました。ぼちぼち校正作業に入ります。乞うご期待。
誕生日小説、残すは後一ヶ月となりました。最後まで、この道だけは走り抜きたいと思う所存です。それでは、こちらからは以上です。
補足:『これが恋なら』歌詞
最初は、目も見れなかった
話す言葉も小さくて、弱くて
それでも、アナタは笑って
隣に立ってくれた
ゆっくりと、でも確かに一歩
私、歩いてきました
横顔をそっと見る度に
胸の奥、痛くて
これが恋なら
言葉にできたら
まだ、口はふるえて
困らせてしまう
だけどいつか
いつか、伝えたい
今はまだ、痛みの中
言葉探してる
春の香りがする頃は
もっと、もっとそばにいたい
手を伸ばして、笑っていたい
だから、前を向くよ
これが恋なら
ちゃんと伝えよう
今、私はアナタの
目を見つめて、そして
「すきです」
届いてほしいな
今はもう、目を閉じて
返事待っている