3月のコンテンツ(キング・オブ・コメディ、aiko、風花雪月、OSFE、北沢志保)

 君らは僕がイカれてると思うだろう
 だが ドン底で終わるより一夜の王になりたい
 ――映画『キング・オブ・コメディ』

 この名言について書きます。

 どうもサイトロです。3月も色んなコンテンツではちゃめちゃになりました。140文字で書いたことのあるものも、収まりきらないものも全部ここに残していきます。各種コンテンツのネタバレにご注意ください。月は書く予定がないので最終回です。
 

 

映画『キング・オブ・コメディ』

 映画『ジョーカー』が本作に近しい、めいた話は公開当初から聞いていた。劇場で大満足していたのでいつか観ようと思っていたけれど、半年近く待ってしまった。

 近しいどころから続編と言って差し支えないレベルでは!?

 まず本編の話。タイトルからは想像もつかないような陰鬱として、苛立つような話が続く。スターになりたいと願い続けるルパート・パプキンは、現在のテレビスターであるジェリー・ラングフォードがおびただしい数のファンに殺到される中を救うことで、コネを作り出す。そこから、彼が実際にジェリーと仲良くなるという幻想と、実際には口約束だけで会う機会を得られないという現実が交錯していく。この、幻想と現実の交錯は『ジョーカー』における大きなトリックであるから、それを知らずに観れた人の幸福とは、どれほどのものだっただろう。

 ルパートはコメディアンでありながら、作中ではたった一度しか舞台に立たない。ステージに立って勉強を、というジェリーの秘書からの助言も聞きはしない。自分をスターダムに押し上げないジェリーにしびれを切らし、ルパートは同じく彼の(妄信的な)ファンであるマーシャと共謀して、誘拐事件を起こす。

 その結果、『もうお前には頼らない』と啖呵を切っていたはずのルパートは、8,700万人が見つめるテレビ番組に出演する。見事ルパートは観客たちの歓声を聞き、最後に例の台詞を言う。一夜の王となった彼は逮捕されるものの、獄中で執筆した自叙伝が大ヒットし、再び王として凱旋する……それは彼の幻想ではないのか? 答えは出ないままエンドロールの幕は降りる。

 この映画で語られたのは、一大スターを取り巻く狂気と、それを楽しまずにはいられないテレビの観客であったと思う。勿論、観客席に座っているのは、映画を観た人々も含まれている。ジェリーがファンに殺到される冒頭は、彼の成功が決して素晴らしいことばかりではないことを明示しているし、後半では本人がその苦悩を吐露している。そんな彼を欠いた形でも、番組は成り立ってしまう。何も知らない観客も、全てを知り尽くしている映画の観客も、新しいスターの話術に笑わされ、そして満足してしまう。ルパートの活躍をテレビで見つめるジェリーを、一体誰が見つけたのだろうか。

 スターならファンに奉仕して当然、ファンの願いを聞いて当然、ファンに愛されて当然。

 ルパートもまた、その苦悩を味わったのではないかと幻想する。ラストで、再びステージに上がる彼は、どこか笑っていないようにも見える。何より、何の話を初めていないにも関わらず、観客たちは笑い声を上げている。その歓声がふっと途切れて、映画は終わる。

 これだけでも十分に良い映画体験なのだけれど、この数十年後に『ジョーカー』が作られるのだから、溜まらない。

『ジョーカー』もまた、アーサー・フレックという大道芸人がスターを目指す物語だ。貧困や病気に苛まれながら、道を転げ落ちる彼もまた、スターであるマレー・フランクリンに憧れている。この、マレー・フランクリンを演じるのがロバート・デ・ニーロである。『キング・オブ・コメディ』で、ルパート・パプキンを演じていた!!!!!!!!!!! うおおおお!!!!!!!!!!! 今すぐこんなブログ読むのやめて映画観てくれ!!!!!!!!!!! 

『ジョーカー』は最終的にコメディアンである道を、憧れていたスターを銃殺することで放棄する。嘗て狂気によってスターダムにのし上がったデニーロが、同じく狂気によってステージに立った男に殺される。それもまた、余すところなくテレビで放映されている!!!!!!!!!!!! その狂った絵を、観ている我々!!!!!!!!!!!!!!!! これが!!!!!!!!!!! 数十年越しに再演される狂気!!!!!!!!!!!

『キング・オブ・コメディ』も公開当初に観られたらと思わずにはいられない。

 あと一回叫ぶので覚悟していてくれ。

『ジョーカー』はその後に悪の象徴、王とも言えるようになったアーサーが、この映画そのものが幻想であったかと吐き捨てるかのようなエンディングを迎える。偶像に執着する人間、その中に自分の姿がないと果たして言えるのだろうか。自分は何を観ているのか。個人的には『トゥルーマン・ショー』のラストを思い出さずにはいられなかった。

 最後に、『キング・オブ・コメディ』のポスターは、主役の二人がそれぞれトランプを模している。今の王であるジェリーは当然キング、そしてそれに成り代わろうとするルパートは、ジョーカー。

 ジョーカーなんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!

 頼むから二本まとめて観てくれ。

 

歌手『aiko

 え……この後aikoの話するの……マジ? 恋愛ソングの話するの? さっきの話の後で? まぁそういうこともあるか。

 

 3月にaikoライブ配信があった。確か10万人くらい観ていたらしい。10万て。まぁアーカイブでその一人に加わるのも悪くないなと思い観てみたのだけれど、これがまぁ良かった。まさか下ネタ語った後に『ストロー』みたいな真逆の歌が流れて、惚れ込むなんて本当に予想だにしなかった。

 書いてたら動画見つけた。さっき言っていたライブの映像ではないけれど。

 その配信では1stアルバムの1曲目も流れていて、いい機会なのでぼちぼち聴いてみようと思う。こういう時ストリーミング配信は本当にありがたい。ちょっとした好奇心をすぐに満たせる。

 あと最近良かった曲のリンクを貼る。Twitterでいつもやってるやんけ!!!!

 Twitterだとサムネ見えないこと多いんだよなぁ。

 

ゲーム『ファイアーエムブレム風花雪月』

 令和のめちゃくちゃゲームをめちゃくちゃ遊んだ。1周で50時間くらい。

 ファイアーエムブレムは覚醒でどっぷりとはまって、ifの難易度とストーリーに挫折して、風花雪月も好評だとは聞いていたものの買うには至らずで3月まで。最近Twitterの知り合いがプレイして、皆が感想のような激情のような文字を打つものだから、気になって買ってしまった。

  簡略すると、『3つの学級から1つ選んで、その先生になりましょう! そして成長した生徒たちと共に残る2つの学級を滅ぼしましょう!』という、任天堂らしい明るく健全なゲームである。明るく健全!!!!

 実際ゲームとしては何て良いんだろうと感動しきりだった。戦争シミュレーションとして各キャラクターが軍団を持ち、策略によって相手の動きを止めることが出来る。成長は先生と生徒という関係性から、先生であるプレイヤーがキャラクター毎の個性を見て(或いは独断と偏見を以て)、技能を成長させていく。そして自由時間には学校を探索し、生徒と交流を深めていく。他学級の仲間たちとも切磋琢磨して、五年後に血の同窓会を開こう!!!!

 ファイアーエムブレムと学園を掛け合わせて面白くなると気付いた人間の発想が恐ろしい。優れたアイデアは色々な問題を解決する(=色々な面白さを生み出す)とは良く言ったものだけれど、それがここまで体現されると逆に怖い。そういう点を含めて、売り物としてとても良く出来ている所が好きだ。

 更に言えば、現代のようにゲームの体験を比較的容易に共有出来るようになったことも、このゲームの良さを後押ししているように思う。同じ学級を選んだとしても、ゲームとしての体験が大きく異なってくるのだ。それはキャラクターの成長させ方や、死に別れてしまった体験、そして最後に誰に指輪を渡すのか……一筋の道のりでありながらも、その歩みは個人にとってかけがえのないものになってくれる。それを語らずにはいられない。

 なので語る。ここからは青獅子の学級<ルーヴェンラッセ>で一緒に過ごしてきたキャラクターについて書いていく。スクショはない。後これ今気付いたのだけれど『キング・オブ・コメディ』と風花雪月の記事は個別にした方が良くないか? そうは思うけど面倒なのでこのまま書く。ライブ感のあるブログとして俺の中で定評あり。

・ディミトリ

 最初はディミトリと結ばれるつもりで女主人公を選んだのにな……誰を選んだかは後述。青獅子のストーリーは彼を主役にして綺麗にまとまっていたと思う。今プレイしている黒鷲の顛末が危ぶまれる……エーテルガルトを主役にして収まり良くなるのか……?

 ユニットとしてはマスターロードとして普通に運用した。魔法が強いイメージがあったけれどそんなことなかった。まぁゴリ押ししたけれど。ただ、五年後に独りとなっていた彼にハイロードの役職が宛がわれるのは皮肉めいていて良かった。

・ドゥドゥー

 あらゆるゲームで盾役になるキャラほど愛さずにはいられない。なので五年後の冒頭で死んだと言われた時はこのゲーム売ったろかとキレていた。出てきてくれた時は声上げて喜んだ。ディミトリの側近でありながら、友人であろうとする支援Aとうとい……薄い本作る……。

 ユニットとしてはフォートレスが似合う似合う。拳の方は全然使わなかったのだけれど、そっちで運用したらどうなったのだろうか。終盤は魔法以外でほぼダメージを受け付けない程度には強かった。

・フェリクス

 れ、令和のツンデレ王……。アネットとの支援会話まんがタイムきらら連載かと思った。彼の強がりが矯正されるのではなく、周囲に受け入れられてほだされていく構図も良かった。

 ユニットとしてはエピタフに就職。ニンジャなのか武士なのか分からん。紋章が七割発動という裏知識を入れていたので積極的に使ってみたけれど、いやはや強い強い。まぁ翌々考えると紋章ちゃんと使うならソードマスターで流星撃たせた方が良かったに決まっている。

メルセデス

 あぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~聖母なんじゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~膝枕してくれ~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!! 結婚!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 というわけでそんな感じ。カードゲームのイラストがマジで聖母だから見てくれ。
 この戦乱の中で優しさや慈愛を見失わず、それを分け隔てなく周囲に注げる彼女が……その……好き……。男共が彼女にほだされるのを見て血涙が出た。

 あとこれは恨み節なのだけれど死神騎士との因縁を見ようとして体力調整していたらフェリクスがクリティカル出してトドメを刺しやがった。先生そんなこと教えた覚えありませんよ!

 ユニットとしては無難にグレモリィに着地。信仰高めなのでフレンと似通ったけれど、回復をメインにするキャラは二人で丁度よかった。

・アッシュ

 その……彼の若さがあまり好きではなく……単純に好みとして。初っ端からロナード卿関係で大変そうだったな。

 ユニットとしてはスナイパーに。ただ、顔の良さで入れたシャミアがボウナイトになり、移動も防御もちゃんと出来る一方で、半端に育ったなという印象が拭えなかった。剣持たせた方が良かったのかもしれない。

・アネット

 これは邪悪な話だけれど、メルセデスさんとアネットを別離させたら絶対地獄では?????????? 地獄がいっぱい風花雪月!!!!

 それは二周目以降の話として、彼女の親友として、また健気な努力家として頑張ってくれていたと思う(通信簿か????)。父親との別離、時間の経過を思わせる会話が良かった。

 ユニットとしてはグレモリィになりつつも最後は踊り子に。応援ユニットとしても序盤から活躍してくれて、こういう個性を見いだせたのは先生鼻が高いぞ。

・シルヴァン

 この男の感情が重い2020!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 彼が先生に見せる殺意を伴うような嫉妬は、普段見せる軽薄なナンパ男からはまるで想像がつかない。それほどまでに上手く隠した真意は五年を通して融解し、彼は覚悟を持った大人として成長する。先生は時に生徒に寄り添いながらも、知らない所での成長に驚かされるものだと、この学園生活を通して、彼らからは教えてもらうことばかりだ。

 ユニットとしてはグレートナイトになった。大切な人を守れる立派な騎士に……アッシュもそうしてあげれば良かったな……。最後は高機動とドゥドゥー並の防御を持った優秀なユニットになってくれた。先生は時に(略)。

・イングリット

 この学級騎士目指している子多いな……。

 彼女とシルヴァンが仲良さそうだと思ったので最後は結ばれるのかなーと思っていたら……アッシュとくっつきました。シルヴァンはフェリクスとくっつきました。運命がいっぱい風花雪月!!!!

 ユニットとしては立派なファルコンナイトになってくれた。前線に出るユニットが皆々魔法に弱かったので、彼女が魔法使いを随所で倒してくれるのはとても助かった。ドラゴンマスターが三人(ヒルダ、ツィリル、セテス)いたので、次はもう一人くらいファルコンナイトを作りたい。

 後はドロテアさんをスカウトしてメティオを落としたり、教師陣は顔で選んだりしていた。長くなりそうなので割愛。シャミアの顔が良い。これだけ覚えていてくれ。

 2周目は黒鷲を選んでのんびりと進めている。正直ゲームの2周目はモチベーションが持続しないのだけれど、扱っているキャラクターが違うからある程度別物という印象もある。まぁどうぶつの森や後述のゲームしながらぼちぼちやっていこう。また感想を書きたい。

 

ゲーム『One Step From Eden』

 さて今月の大本命。正直ここまで一発で書いているから体力が減っているしお腹も空いてきたし何よりこのゲームを遊びたいのだが?????????

 このゲームは俺の幼少期の象徴とも言える『ロックマンエグゼ』シリーズと、1月のメチャクチャコンテンツである『Slay the Spire』を組み合わせた夢のようなゲームである。前者で言うならば、エグゼ3のモノリスを破壊した時のような熱戦だけが収録された、バトルネットな作品なのだ。

 敵が出てくる。スペル(エグゼのチップと一緒)を使って敵を倒し、報酬としてスペルやアーティファクト(エグゼのHPメモリやバスターアップみたいなもの。これは『Slay the spire』とほぼ同じ)を手に入れて、ボスを倒す。その繰り返しだが、次第に敵の強さが能力値だけでなく、戦闘スピードとして表れる点がとても難しい。エグゼ初代から6までの変遷くらい違ってくる。多分。アクションは苦手な方というか、とにかくうろたえるとダメな性格なので、勝てるゲームを何度も落としてしまっている。こればかりは慣れるしかない。

 一時期Twitterロックマンエグゼの話をする度に盛り上がる程度には同じ世代の心に残っているゲームだと思うので、どうかこの機会にその後続とも言える本作を遊んでほしい。そして楽な攻略法を教えてほしい。

 

小説『桜の季節に降る雨は』

 ここからは個人的は話になる。ほら、良いコンテンツの話いっぱいしたんだから、早くそっちに触れてて!!!! ここからはサイトロファン向けのコンテンツ。言ってて恥ずかしくないのか?

 北沢志保の小説を書いた。60ページくらいの長いやつ。最近の個人誌『夏星、跳ねる。』よりはちょっと少ないくらい。その辺の裏話を備忘録的に残しておく。刊行が半年後の作品の裏話が聞けるのはサイトロファンだけ!!!!

 年始にプロットを作り始めて、執筆は二月末から始めた。行事が特になかったことも相俟って一ヶ月ほどで書けた。今後もこのペースを維持したいけれど、現実問題厳しいと思うので次の本、トライスタービジョン小説本『ffalling dawn』は倍くらいの期間を見たい。

 北沢志保の受験について書いたけれど、これは考察や論考を含むものではない。彼女の情報から正解を見出すのではなく、彼女の情報から考え得る一つの正解を、物語という形に納めた。選ぶ道、起こりうる出来事については、今後の情報次第で変わる可能性は十分にある。

 それでも書いた。書き上げた。まだまだブラッシュアップはするものの、いち書き手として、こういうことも書ききれるようになったと、一つの自信になった。そして、北沢志保に初めて出会った2014年からの月日を思った。『輝きの向こう側へ!』という映画で彼女の人気を思い、気付けば好きになっていた頃から今日まで、小説はずっとやってこれたなと感心した。

 早く読んでもらいたい。この言葉ばかりで申し訳ないけれど、続報を待っていてほしい。

 

 3月。色々あった3月だった。

 4月からは大きな変革こそないものの、この下半期のような穏やかな日々は続かなそうである。ご時世含めて、生きていこうと思う。その糧としてまた良いコンテンツと巡り合えることを願うばかりだ。